劇場公開日 2011年5月28日

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「熱い部分と冷めた部分」マイ・バック・ページ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0熱い部分と冷めた部分

2020年8月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 “赤邦軍”という新左翼のリーダーである梅山=片桐優(松山)は全共闘に乗り遅れた感もあり、憧れの革命家たちをも踏みにじろうとしていたのか?焦る気持ちが自衛隊から銃を強奪しようとする計画を生みだし、マスコミを利用して自らのセクトを確立したかっただけにすぎないのだろう。彼の嘘や虚言に騙されながらも親近感を抱いた沢田(妻夫木)はスクープを得ようと躍起になるところで共通点があった。元は彼も左翼運動に加わっていたのに、どうしても暴力の中に入り込めなかったのも原因か?

 69年から71年にかけての物語。熱く語っている部分と冷めた部分が共存し、結局は空しさしか残らない。松ケンがCCRの「雨を見たかい」を弾き語りするシーンも印象的だし、東都新聞のイメージガールとして選ばれた忽那汐里が男の涙について語っていたが、それを否定していた妻夫木が最後に涙を流すシーンとがいい伏線になっていた。『ファイブ・イージー・ピーセス』のジャック・ニコルソンの男泣きだなんて、ぜんぜん記憶に残っていない。

 山下敦弘作品には必ず出演している山本浩司も登場するが、彼のエピソードなんかもイマイチ理解できなかったりする。やはり敦弘向きじゃない作品だったんだな・・・

kossy