劇場公開日 2011年2月11日

「伊勢谷友介の肉体改造っぷりを見る映画」あしたのジョー 永賀だいす樹さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5伊勢谷友介の肉体改造っぷりを見る映画

2013年3月11日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

興奮

原作をリアルタイムで楽しんだ世代ではないので原作との比較はできないまでも、断片的に入ってる情報と限りなく合致する映像を追及した作品だなと思います。
矢吹丈と力石徹との因縁にクローズした構成も見事。映画という尺の短いコンテンツで、過不足なく作品世界を表現していると感じました。
パンチを食らったときの顔のゆがみ、重量コントロールの過酷さ、力石演じる伊勢谷友介氏の身体の作り込み。ある面でアニメを彷彿とさせ、ある面では役者の本気度を感じさせる仕上がりだと思います。

ただ残念に感じたのは、山下智久演じる矢吹丈が清潔すぎること。
丸ごと再現したドヤ街の汚さが秀逸なだけに、ジョーがどうにもきれい過ぎるのは浮いて見えます。
ランニングを終えてジムに帰ってくるというのに、汗も感じずさわやかなのはいかがなものか。
コンテンツが男勝負な作品なのだから、そこは徹底して小汚くてもいいんじゃないかと思うのは僕だけではないはず。力石のストイックさが半端ないだけに、ジョーの小奇麗さは違和感ありまくり。
役者だけで女性客をゲットしようというプロデューサーの浅はかさが透けて見えそうです。

まぁ、そうでもしないと制作費の捻出が難しいコンテンツなのかもしれませんが。

レンタルしたDVDには、力石演じる伊勢谷氏の入れ込みっぷりが存分に把握できます。
彼は徹底した役者なのだと感じる次第。
香川照之氏の丹下段平も、いささか作り込み過ぎな気がするものの、そういうものだと見てしまえば立派なものだと拍手したい。
出演者たちの「あしたのジョー」に対する思い入れが伝わってくる一作。

では評価。

キャスティング:7(伊勢谷=力石は秀逸、山P=ジョーは過不足なし)
ストーリー:8(マンガ原作知らない人にも無理のない展開)
映像:8(少しばかり小奇麗な気がするものの、全体的な小汚さは伝わってくる範囲)
作り込み:8(原作知らなくてもイメージ通りな作風)
パンチ:6(素人ならごまかされるレベル)

というわけで総合評価は50満点中37点)。

男臭さを現代風に体感したい人にはオススメ。
リアリティ度返しで、きれいな汗にメロメロになりたい女子には特にオススメ。

永賀だいす樹