劇場公開日 2011年2月11日

「「ヤマト同様、大失敗作だろう」と思いきや・・・」あしたのジョー モウリさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「ヤマト同様、大失敗作だろう」と思いきや・・・

2011年1月7日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

興奮

 暮れも差し迫った昨年12月11日、東宝からスニークプレビューの招待を受け、ノコノコと日比谷の東宝本社を訪問、一足早く観て来ました。題名は分からなかったので東宝のHPの予告を事前にチェック、時期的に見ておそらく「ジョー」か「フォックス」だろう、と予測、案の定、当日の上映は「あしたのジョー」でした。正月映画で「ヤマト」を観ましたが、出来栄えは最悪、従来のヤマトファンの期待を裏切るとんでもない駄作だったので、ジョーも「マンガの映画化はろくなものが無い」「ヤマピーがジョー???ヤマトのキムタクもそうだが、東宝もとりあえずジャニーズ頼みとは情けない」「実写版1970よりも酷い出来だろうな・・・」と、着席時には全く期待せず、というよりも、「どのくらい酷い出来だろうか」との気持ちしかありませんでした。
 しか~し・・・全くの想定外、これは素晴らしい!!昨年度の実写邦画の中で1、2を争うよくできた映画でした。先ずは怪優・香川照之、彼は何をやらせても上手い、本当にいい俳優ですが、彼の丹下が笑っちゃうくらいによく似ている!最初はとんねるずの木梨の丹下のパロディにしか見えなかったのですが、次第にそれを忘れ、正にマンガから抜け出したが如き丹下を、香川は見事に演じています。彼を見るだけでもこの映画は一見の価値があります。日本アカデミー助演男優賞は既に確定、間違いないでしょう。
 次に力石を演じた伊勢谷、彼の力石もいい!!実写で力石を演じられる俳優などいるのだろうか、と以前は思っていましたが、画面の中で伊勢谷は力石の生き写し・・・マンガファンの期待を裏切らない、見事な力石を演じ切っています。あの減量中の体はCGは全くなしでしょうか?そう思うくらい、あの過酷な力石の減量体型を完璧に作り上げています。以前から上手い俳優だと思っていましたが、本作は伊勢谷にとって間違いなく生涯の代表作になると思います。
 最後にヤマP、誰が見てもジョーに見えません。誰が彼をジョーに推薦したのか?作品全部を山P一人でぶっ潰しました・・・と、思いきや、これがなんと、私の予想を大幅に裏切り、山Pがこれまた素晴らしい、本当にいいんですよ、未だに不思議なんですが、最初は違和感、先入観があった山Pのジョーが、映画が始まるとすぐに、なんと山Pがジョーに見えてくるんですよ・・・本当に不思議です。山Pの演技を始めて見ましたが、ジャニーズだからどうせダメだろう、とタカを括っていましたが、いい俳優ですね、彼は。ジョーの役作りに時間をかけたことは観客には十分に伝わりました。
 内容ですが、映画版ジョー1とほぼ一緒、マンガを観た方も知らない層も十分に満足できるものです。ヤマトのようなごちゃ混ぜのパロディーのような酷さはありません。脚本、編集もよく出来ています。2時間を超える作品でありながら、最後まで観客を飽きさせません。
 東宝の皆さん、ぜひ、PART2を製作して下さい。それの最大の課題はホセとカルロスの俳優を如何に見つけるか・・・それにかかっています。彼らにマンガのように日本語を話させるかどうか、それも大きな課題でしょう。この2つの問題をクリアし、本作同様のエネルギーを注ぎ込めば、おそらくPART2もいい作品になるものと確信します。かなり気が早いですが、今から期待しています・・・。

モウリ