劇場公開日 2010年11月6日

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「まさに昼メロといった展開」エクリプス トワイライト・サーガ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0まさに昼メロといった展開

2010年11月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

ひと目で惹かれあう男女。だが、それは人間の娘とヴァンパイアの青年による〈禁断の恋〉だった。そこに娘を本当に幸せにできるのは自分の方だと幼馴染みの青年が割って入る。娘の心がふたりの間で揺れ動く〈三角関係〉。そして、娘には特殊な血が流れていた〈出生の秘密〉。また、次から次に『だが・・・』と〈新たな試練〉をたたみかける手法といい、トワイライト・サーガが描くのは、まさに昼メロの王道である。このシリーズは、現代の映像技術を使った若者向けのファンタジーの姿をしているが、根幹は昔ながらのコテコテのメロドラマだ。世界中でヒットするのは、メロドラマの普遍的な要素をすべて備えているからに違いない。
今作では、娘の愛を勝ち取るため、ふたりの青年が互いの前に立ちはだかる。月のように美しいヴァンパイアと太陽のように熱い男。互いを蝕(Eclipse)する、まさにどろどろの展開で、娘の恋の行く末に気を揉ませようという、これまた昼メロの常套ステップだ。
これに加え、アクションもやや原始的な戦いではあるものの、ひとつの区切りに向けて突き進み、やや中だるみした2作目「ニュームーン」よりもはるかに面白い。ある意味、今作で完結でもおかしくない。まだ最終章があり、2部作になるかも知れないとの噂だが、タイトルに“サーガ”を冠した以上、このままただのメロドラマで終わらせてほしくないものだ。

「ニュームーン」で、ヴァンパイアたちの透き通るような肌の質感が失われたと評したが、今作はさらに落ちて、もはやただの白塗りである。明らかにCG処理にかける経費と手間を惜しんだ結果だ。フォークスの森の美しさは完全に色褪せ、山頂のセットも安っぽい。ストーリーそのものの面白さとは別の次元とはいえ、1作目「初恋」の美しさをスクリーンで堪能した者としては物足りない。

マスター@だんだん