劇場公開日 2010年3月27日

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「やさしい未来を見たくなったらこの作品で、心をあたためようよ!」やさしい嘘と贈り物 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0やさしい未来を見たくなったらこの作品で、心をあたためようよ!

2011年11月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

幸せ

やさしい嘘も嘘は嘘、嘘の結末は悲しい現実が待ち構えていた!何の予備知識も無く
観た私は完全に優しい嘘に乗せられていた、しかし騙される幸せも世の中にはあるものだ。
アメリカのスーパーマーケットでは結構ご高齢の店員さんも見かける事も有り、ネズミキャラで世界的に有名なテーマパークの本家アメリカでは、高齢のキャストも普通に働くので、ロバートが仕事らしい仕事をしていなくても、雇用されている事にもそれ程大きな違和感を持つ事も無いままに、ズーッと何か変だなとは思いながらもすっかり騙されてしまいました。そう、丁度ロバートがメアリーの嘘に気付く事がなかったのと同様に・・・
この世には、悲しいかな人を行為的に傷つける為の嘘もあり、それは明らかに小さな罪から、大きな犯罪レベルまで嘘の規模も種類も数知れないが、家族の中で生きる希望や夢や、熱意を得る事が出来る為の嘘がつける事は幸せな人間関係の証なのかも知れない。
認知症は中々回復困難な病気の為に先行きに不安と絶望を伴う疾病だ。そしてこの病気を患う患者と生活を共にする家族は、患者同様に、いや時には患者本人よりも尚より大きな不安と絶望の未来の中で日々毎日の1日の生活を終えている事も決して少なくは無い。
我が国では今後4人に1人が高齢者となる現実を目の前にして、これが単なる映画の中の
話であるとか、作られたファンタジーで現実的では無いと私には考えられない映画だった。
貴方は、きっとそんな私をバカな奴と思うかも知れない!しかしどんなに人は望んでいても、ピンピンコロリと、死の直前まで、元気で認知も無く過ごせる保障は何処にも存在してなどいない!
自分が仮にロバートだったら、こんな嘘でも良いから騙されてみたいし、メアリーの立場ならきっと同じ嘘をつく事を考え付いていたかも知れないと思うのだった。
或いは、騙されていると知っていながら、それに気付かない振りをすると言う嘘を嘘で受け止めると言う素晴らしい嘘が世の中には存在する。
でもそれらの総ては、やさしい真心から生れた嘘。人間常に真実に忠実に、正直に生きるだけが正しい生き方では無い事が明らかにされる作品だ。しかし現実の私達の生活の中で体験する嘘は中々こんな上手くは嘘が続いてゆく事は稀な事である。それ故に、人々にとってこんな嘘の有り様を提案してくれたこの映画に感謝したいのだ!
何故って、映画のレビューを書く時にすら、いつでも正直な話し思い悩みながら私は書いている。それは映画の良い側面を少しでも多く見つけ出し、伝えよと心に決めている事だからだ。私の友人などは、つまらん時はつまらんと書かないと、狼少年になると忠告をしてくれる!
事実、時にはつまらない映画との出会いもあり、その本当はつまらない映画をつまらないと評価するのが正しい選択なのかと悩むのだ!映画はあくまでも主観で観るのだから、100人100通りの価値感の世界が有る。映画を愛する人達が大切に制作した作品を私は横から
さらりと斬る事もする!しかしお金で観る権利を買った観客にはいつも自分の意見を好き勝手に言う権利も獲得出来るのかと悩むのだ!やさしい嘘をつきたい日がある事もある。
話が逸れたが、正直に伝えよう、私は優しい嘘の価値を評価してくれる本作をとても素敵な映画と受け入れたい!そしてもし家族が映画同様に認知症になった時にはこの映画に倣って是非嘘を選んで生きてみたいのだ!貴方はどんな生き方を選ぶだろうか?

ryuu topiann