劇場公開日 2010年1月22日

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「欲張りすぎた? 駄作じゃないけど、惜しい出来。 [修正]」エクトプラズム 怨霊の棲む家 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0欲張りすぎた? 駄作じゃないけど、惜しい出来。 [修正]

2010年2月3日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

ここのところ異常に多い、『実話に基づく』と銘打った幽霊屋敷ホラー。
昔から幽霊屋敷ホラーは数多いが、この映画は細かい点にちょっとしたヒネリを利かせてある。

まず主人公の少年が末期癌というのが変わっている。既に運命の決定付けられた者が主人公であり、そこが色々の点で物語に説得力を与えている。
葬儀場・黒魔術・降霊術が絡む展開にも、オカルト好きの自分は引き込まれた。
消えた大量の〇〇の所在や切り取られた〇〇〇などかなりオゾマシイ要素もあるし、“耳無し芳一”チックなビジュアルの死霊はかなり気色悪い(褒めてます)。

しかし不満な点も多い。
まずは邦題に偽りアリ。
肝心のエクトプラズムは確かに薄気味悪いんだけど、登場時間はたぶん1分に満たないし、暗くてよく見えない……。まぁ原題を直訳して『コネティカットの呪い』なんてするのもビミョーだが、もう少しマシな邦題を思い付かんかったのかしら。

幼い兄弟・元アル中の父・死期の近い牧師・アクティブなベビーシッター・降霊術士とその弟子、どのキャラももっと魅力的にできそうなのに、描き込み不足な上、物語に活かしきれていない。

面白くなりそうな要素は幾つもあるのに、実話が元という縛りの故か、作り手の力不足の故か、結局の所ありきたりなホラーに収まってしまっているという印象。あるいは美味そうな要素を詰めすぎたか。決してまずい出来では無いのだが、なんだかすごく勿体無い。

監督ピーター・コーンウェルはこれが劇場映画第一作なのだろうか。どうやらまだ若手の監督さんのようだ。伸びしろはありそう……今後に期待してます。

[修正]
“海千山千”という言葉を、“ありきたりな”“よくある”という意味で使っていました。実際は“世の表裏を知り尽くした”といった意味。真逆だわ。お恥ずかしい。

浮遊きびなご