劇場公開日 2009年12月12日

「良くも悪くもこれが「ヤマト」」宇宙戦艦ヤマト 復活篇 solcovさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0良くも悪くもこれが「ヤマト」

2010年1月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

第一作目のテレビ版を除いて、「ヤマト」が駄作でなかったことは一度もない。未だに多くのファンが賞賛する「さらば宇宙戦艦ヤマト」も、当時の思い入れを抜きにして冷静に見れば、紋切り型の台詞と平板な演出ばかりが目につく駄作だった。今作で見られる欠点は全て過去の「ヤマト」と共通するものばかりで、個々の乗組員の描き方など旧作よりも丁寧に作られている部分もある。
この作品を見た多くの旧作ファンが感じたであろういらだちは、「もっと良くなるはずなのに旧作レベルに止まっている」ことにあると思う。
だが、これが「ヤマト」なのだ。
細かいことは抜きにして、とにかく出撃して波動砲をぶっ放す。考える前に行動して、後先顧みずに目の前の障害を吹き飛ばす。
その快感を描くためならご都合主義などものともしない。そもそも、ご都合主義を排除してしまったら、「ヤマト」の存在自体がご都合主義の塊だ。ヤマトの粗探しくらい無駄なことはないのである。
ただ、この大味な作品を素直に楽しむには少々僕たちは大人になりすぎてしまっているし、若い世代はこういう作品を必要としていない。

それでも僕はこの続きがあるなら見たいと思う。それは、行動しない言い訳をすることばかり上手くなってしまった自分を、わずかな時間だけでも意識しないでいたいからかも知れない。

solcov