劇場公開日 2009年9月12日

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「松本監督の脳内探訪ツアー (〜1800円)」しんぼる 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5松本監督の脳内探訪ツアー (〜1800円)

2009年9月24日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

知的

難しい

『松本人志のコメディ』を期待すると裏切られる。
『松本人志の脳内観察』を期待すると裏切られない。
映画にストーリーを求める人は裏切られる。
映画は個人の心象風景だという人は裏切られない。
……てとこだろうか?

結局この映画は思い切り金を掛けたプライベートフィルムのようだし、こんな独りよがりな映画で金取んなという意見があるのも至極尤もだ。しかしそれは本作を『駄作』と呼ぶ理由とはなるまい。

展開は鈍重だし、笑えるかどうかも人によりけりだが、クライマックスに代表されるような強烈なイメージも少なく無く、『大日本人』でも見られた、長い時間をかけて描いてきた物語を一瞬で(しかも意図的に)破壊する展開は、おいそれと真似できるもんじゃない。
何より人によってこれだけ賛否や解釈が分かれる映画も珍しいし面白い。その点、ロロ・トマシさんのレビューに賛成だ。

個人的には“しんぼる”を刺激する度に起こる現象の数々は「詰まる所、笑いは原始的衝動の一部に過ぎない」という、芸人らしからぬ超然とした姿勢の表れとも思えるし、逆に人間の本能に深く根付く『笑い』に対する畏敬の念とも採れた。

はてさて次回はどんな奇妙な物を見せてくれるのやら。

浮遊きびなご