劇場公開日 2011年7月30日

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「子供より大人の方が、より深く味わえるかもしれませんね。」カーズ2 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0子供より大人の方が、より深く味わえるかもしれませんね。

2011年8月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

●『トイ・ストーリー3/ハワイアン・バケーション』
 先ずは、おまけの短編が毎作品ごとに豪華にってついに『トイ・ストーリー3』の続編が短編となって帰ってきました。メンバーのなかでラブラブのカップルとなったもの同志の告白顛末がショートストーリーで綴られます。
 熱いプロポーズをハワイのワイキキでと熱望しても、人形ゆえにハワイ行きはままなりません。そこで仲間たちは、こぞって居ながらにしてハワイに行った気分を味わえる演出をして二人を祝福します。涙ぐましいその演出アイディアの数々にトイ・ストーリーのメンバーたちの強い絆を感じさせてくれました。
 しんし、肝心の二人は仲間たちの用意してくれた、ワイキキのサンセットの舞台よりも屋外を洗濯してしまいます。何と屋外は、雪が降り積もるスノーホワイトでした。
 これはこれでなかなかロマンチックと思っていたら、短編ならではのオチがついて、笑い手でお終いとなりました。もうちょっと見たかったなぁ~。
 でも、メンバーがその後も幸せに暮らしているようで、何よりです。

●『カーズ2』
 人間は登場せず、車を人に見立てた世界を描く、ディズニーとピクサーのアニメーション。「カーズ」の5年ぶりの続編です。
 人情たっぷりとホロリとさせられた前作に比べてて、今回は舞台をワールドワイドに拡大させ、スパイアクションも取り入れるなど作品スケールが大きくなっていることが特徴です。
 特に、今回はストーリー全体が、「007」シリーズのパロディーになっていて、秘密兵器満載の「ボンドカー」を思わせる車が、英国スパイカー、フィンとして登場。おまけにセクシーなボンドガールらしき車も活躍します。冒頭から本家「007」同様のアクションが、ダイナミックに演じられるのが楽しいところですね。
 また背景には、いま注目されている新型燃料と石油を巡る巨大な陰謀が隠されていて、事件を起こす黒幕も、意外な人物だったというドンデン返しがあり、結構ストーリー面でも楽しませてくれました。この面白さは、子供より大人の方が、より深く味わえるかもしれませんね。
 とにかく、登場するキャラは漫画チックにデフォルメされた車ばかり。それでいて、結構シリアスで迫力あるスパイアクションに仕立て上げてしまうのは、ものすごい想像力の結晶だなぁと感動しました。

 さて、今回の物語でも天才レーサーのマックィーンと、親友でおんぼろレッカー車のメーターとの友情は不滅。
 世界最速を決めるワールド・グランプリに参加することになったマックィーンは、ビットチームにメーターも加えて同行することになりました。ところがお決まりのように、お調子者のメーターは、あちこちで失態を繰り返し、マックィーンに恥をかかせ放し。
 ついに業を煮やしたマックィーンは、チームからメーターを追放します。しかし、マックィーンに魔の手が及んだとき、メーターが思わぬ活躍を見せて、マックィーンを危機から救います。やはり二人の友情は普遍だったのです。
 今回のワールド・グランプリは新型バイオ燃料の普及を目的にしたもの。それを阻もうとする黒幕は、レースで新型燃料を採用した出場車を次々破壊していきます。それでも新型燃料の使用に怯まないマックィーンにも危機が迫っていたのでした。
 また、メーターも英国スパイの改造を受けて、スーパーカーに大変身します。前作を見た人なら、その大変身ぶりにぶったまげることでしょう。外観はボロだけど、フィンによって007ポンド仕様となったメーターの活躍シーンがなかなか痛快でした。

 最大の見どころは、レースが行われる東京、パリ、イタリアのボルト・コルサ、ロンドンなど、世界の都市を描いた映像です。
 光り輝く都心のビル街、改築前の歌舞伎座、赤ちょうちんがともる路地。見慣れた東京の風景が、魔法のように魅力的に映ります。芸子の舞いや相撲の勝負など全部車たちが演じているのに、なかなかリアルティを感じさせてくれました。
 その秘訣は、ネオンなど細部が精密に再現されていることでしょう。街の風景など、見慣れた都心のどこかに似ていて、実写よりも実在感を強く感じてしまいます。かつて日本の怪獣映画で見たミニチュアの街や、ジオラマ模型の魅力に似ているかも知れませんね。 パリやポルトーコルサも、見事に別世界として表現されていました。今回は2Dでみましたが、実写では不可能な展望が立体によって奥行き感はなかなかのものでした。これが3Dなら感動ものでしょうね。

 ところで、よりスパイアクションとして、シリアスに楽しみたい方は、字幕版がお勧めです。英国のスパイカーのフィンの声をマイケル・ケインが担当しているので、よりそれっぽく聞こえてくるでしょう。フィンのナンバー「314FMCM」の「314」はマイケル・ケインの誕生日「3月14日」が由来なんだそうです。

 よりコミカルに楽しみたいムキには日本語吹き替え版がお勧めです。メーターの吹替えを担当するぐっさんの台詞回しがメーターにぴったり。メーターのひょうきんさを台詞回しで倍増していました。

流山の小地蔵