劇場公開日 2009年9月26日

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「エログロなんでもあり映像に、本能むき出しの笑いに、あなたは突き抜けられることが出来るでしょうか?」アドレナリン ハイ・ボルテージ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0エログロなんでもあり映像に、本能むき出しの笑いに、あなたは突き抜けられることが出来るでしょうか?

2009年10月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 シリーズ2作目の作品。ほぼパターン化されているけれど、2作目は完全に1作目の続きとして作られているので、1作目の鑑賞をお勧めします。
 とにかくこのシリーズときたら18禁にもむなるくらいお下劣なエロ満載かつブラックユーモア満載の作品です。
 悪のりとしか思えないシーンの展開に、2作目からは両乳首を切り取るシーンなどリアルな残酷シーンもあり、えぐい作品にボルテージアップされています。
 さらに、ハンドカメラで登場人物を追いかける撮影方法は、超早いカット割りと相まって、せわしないことしきりです。

 ジェイソン・ステイサムのファンにとって、何でこんな冗談まみれでお下劣な作品に、彼が主演しているのかと、腹立たしくもあるでしょう。
 けれども、本作の毒気に一度汚染させられると、観客の脳は、まるで麻薬を味わったかのように、次なる刺激を求めて、続編をついつい見てしまうことになるでしょう。
 やはりステイサムが大まじめに主役を張るから面白いのです。特にエンドロールのNG集は抱腹絶倒ものです。

 ということで、まず前作のおさらいから。
 殺し屋シェヴ・チェリオスは、中国系マフィアのボスを仕事で殺したことの報復として、別の殺し屋ヴェローナからペキン・カクテルという合成毒を注射されてしまう。毒の影響を阻害るためにはアドレナリンを摂取し続けなければならないと判明します。
 それには運動したり危険や性欲によって興奮状態を保って自力分泌するか、合成アドレナリンを摂取するしか方法がない。チェリオスは残された短い時間の中、何とか活路を見出すため、自分に毒を打ったことを宣言して去ったヴェローナを探しまわる。馴染みの闇医者ドク・マイルスや友人カイロや恋人イヴの協力を得つつ、アドレナリンを常に摂取するため派手に暴れまくり、街に大騒動を巻き起こしながら。

 そしてヴェローナを追って乗り込んだヘリコプターで格闘の末、空から落下。死んでしまったかように見えたのが、前作のラストでした。
 アドレナリンを維持するため、イヴと公衆の面前でセックスするところが、可笑しかったです。

 本作では、空中から落下したチェリオスは、人工心臓をはめられてしまいます。今度は人工心臓の動力となる電力を求めて、あらゆる努力を払うところが可笑しいポイント。
 電柱の変電器をぶっ壊すのは序の口。わずかな静電気を求めて、そばにいる老婆を捕まえ、盛んにすりすりしたり、またもや恋人のイヴと満員の競馬場で公然とセックスしたりするのです。老婆とのすりすりシーンでは、余りのばかばかしさに、演じているステイサムも。笑いがこみ上げて我慢できなくなり、NGとなってしまうほどの強烈さでした。

 チェリオスの心臓を持ち逃げした中国系マフィアとの追走シーンで、ステイサムはお得意のアクションもたっぷり披露もします。でもなかには、手すりの上の足を乗せて、滑り落ちるシーンでは、誤って股間を痛打するなど、無様なシーンもあって、アクション俳優としてのステイサムがコメディアンのように見えてしまいました。

 常に極限状況に追い込まれる主人公を描いた、本シリーズ。エログロなんでもあり映像に、本能むき出しの笑いに、あなたは突き抜けられることが出来るでしょうか?

流山の小地蔵