劇場公開日 2009年9月26日

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「監督のメッセージが伝わらないわけじゃないけど」空気人形 マージョさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5監督のメッセージが伝わらないわけじゃないけど

2010年2月28日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

単純

映像は洗練され、役者も良い(特に板尾氏)。ラストも納得。
けれど、今ひとつノれなかった。空気人形の過剰なピュアに、食傷気味。なまじペドゥナが巧いだけになおさらだった。
意志を持った人形が、性の道具としてでなく、人から必要とされたいと痛烈に願う。
じゃ、その男ウケ狙いむきだしを、まずやめては。コスプレやヒラヒラのミニスカ、内股のちょこちょこ歩き、スキップ、たどたどしく「あなたになら何されてもいい」完全に漫画の妄想系ロリータキャラである。
美少女のダークファンタジーといえば、アカデミー賞受賞作『パンズラビリンス』あの主人公も、それは可愛かった。可憐な姿や幼い言動は、確かに無垢を際立たせるだろう。
ただ、映像に合わせるあまり、心理が矛盾してはいけない。美少女は、人任せの受け身な生き方をやめたのだ。ミニドレスより、例えばジーパンを一回でも着れば、その哀しみがよりリアルだったと思う。
『パンズ〜』で、ドレスを泥んこにして闘うオフェリアに比べ、砂場でも野宿でも汚れない空気人形の隙の無さ…
周囲の人間も、服と同じ役割をする。通りすがりの過食症の女、お局OL、ヲタク、父子家庭などが人形と何度も対比され「ねえねえ、このコ純粋でしょ?」「ピュアでしょ?」「健気でしょ?」確認の声が聞こえてきそう。
見かけだけキレイに整え、無垢をアピるほどに野暮ったく見えてしょーがない。身もふたもなくてすみませんが。

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マージョ