劇場公開日 1955年1月29日

「ストーリーに難があります」裏窓 越後屋さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ストーリーに難があります

2024年4月22日
PCから投稿

ヒッチの人気投票ではめまいと並んで常に上位にランクされる名作、というのが一般的な評価です。
確かに、住人毎のショートストーリーの絡め方、単一視点によるスリラーの圧倒的な醸成などヒッチのヒッチらしさが炸裂した傑作と言えます。

ただし、ストーリーに致命的な欠陥があります。要は本当に彼は犯人だったのか?というそもそもの疑問です。あんなことされたら犯人じゃなくたって逆上するんじゃない?中盤での刑事の捜査経過の説明は十分に説得力あったし、ってことです。

ヒッチは他の作品の説明で、何で逃げないの?何で警察に知らせないの?そんなの変じゃない?的な素朴な疑いを観客に持たせないように映像技術でたたみかけることが大事、と語っていますが、この作品もその好例です。

(参考)
ケリー先輩は波止場か裏窓かの選択を迫られてこっちを選んだそうです。
冒頭の主人公紹介のシーンは、セリフなしで登場人物のプロフィールを説明するモンタージュ理論の典型だそうです。
ヒッチは必要な時以外は説明的な俯瞰ショットは使用しない、今回は犬のシーン以外でアパートの全景は映さなかったそうです。
登場人物の属性を利用してスリラーを作るように心掛けている、今回はカメラマンの主人公なのでフラッシュや望遠レンズを重要な小道具として使用したそうです。

越後屋