劇場公開日 2010年1月30日

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「こんな中途半端な作品が山田監督の実力であるわけがない」おとうと あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0こんな中途半端な作品が山田監督の実力であるわけがない

2021年1月12日
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鑑賞方法:DVD/BD

厳しい
山田洋次監督のファン
とうよりも信奉者です
それでもこれは厳しい

まるで監督が名前だけを貸して新人監督に撮らせたのではないかと疑ってしまうほど残念な出来映えでした

終盤になってようやくなんとか持ち直した
それでも物語が最後に収束していくのも、見事というよりはあざとい、こざかしい
これ見よがしだ

一言でいうと脚本がまるで練れてない
いつもの監督なら5割以下の脚本の完成度合いで撮ってしまったように思えてならない

山田監督は本来こんな程度ではない
テーマが散漫で焦点が定まっておらずフラついている
視点もフラついている
構成も時系列で並べただけだ

鉄郎の臨床シーンから始まり、倒置法で小春の視点から物語を語るとかの構成を山田監督なら普通選択してくるはず
何の工夫もなく漫然と撮るわけがない

主人公の吉永小百合の演じる吟子の台詞も全く練れてなく、まるでト書きのようだ
ただでさえ微妙な彼女の演技が余計に微妙さを増してしまっている
見ていて辛かった

今は遠くの街に住んでいた十代からの友人を自分もホスピスに見舞いに行ったことがある
その4日後に亡くなった
その経験を思い出した
良い題材だったと思うだけに本当に残念

ホスピスのこと
誰からも期待されないおとうとのこと
年老いて邪魔扱いされる義母のこと
小春と吟子の親子のこと

本当の山田監督ならこれらを全部かき混ぜて高いレベルで統合した物語に昇華させる力があるはず

こんな中途半端な作品が山田監督の実力であるわけがない

あき240