劇場公開日 2009年8月29日

  • 予告編を見る

「懐かしさ を思い出させてくれる良作」女の子ものがたり k.moriさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0懐かしさ を思い出させてくれる良作

2010年8月22日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

幸せ

とても、良い話。女同士の友情を描く中で、本当はすごく悲しいはずなのに、人を温かい気持ちにさせる。『嫌われ松子の一生』ではないけれど、実は結構悲劇的な話のはずなのにじめじめしたところを感じさせず、見るものを爽やかな気持ちにさせる作品に仕上がっている。原作者の性格のなせる技なのであろう。

女性の友情を描いた作品で、泣ける作品を見るのは、もしかするとはじめてかもしれない。昨今、いじめの問題とかさまざまな人間関係のぎくしゃくを、メディアが深刻に、悲劇的に、神経質に取り上げることが多いが、こういう、ほがらかさ、強さ、良い意味での鈍感さも必要であり、重要なことなのではないか。そういう、ほんの少し前の時代まではそうっだったはずのことを思い出させてもくれる作品。

『いけちゃんとぼく』と同じ作者の作品だが、少なくとも映画だけに関して言えば、個人的にはこの作品のほうが良く出来ていると思う。いずれも原作は読んでいないのだが。

最近、時々感じるのだが、昔で言うところの小説家のような精神を持った人が、今の時代には漫画家の中にしばしば見かける。彼女もそういうタイプの作家の一人だと思う。

作品中、中心的なテーマともなる、農家の倉庫壁面に主人公が描いた絵も印象的。

k.mori