劇場公開日 2009年7月25日

  • 予告編を見る

セントアンナの奇跡のレビュー・感想・評価

全26件中、21~26件目を表示

3.5 ラストがよかっただけに、もう少し縮めて、ストーリー展開を際ただせれば、素晴らしい感動作となっていたことでしょう。やや残念です。

2009年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 出だしはすごくミステリーでよかったのです。何しろ郵便局の窓口で、黒人の係員が初老の男の顔を見るなり、いきなりドイツ製の古いピストルで撃ち殺すのですが、警察や記者の尋問にも黙秘して語りません。
 現代で起きた殺人事件から始まった本編は、いったいどんな展開になるのか、全く予想がつかないままに、第二次大戦末期のムッソリーニが退陣し、内戦状態にあったイタリアに話が飛びます。

 ただそこに行くまでに、ちょっとご注目あれ!冒頭登場する実業家風の紳士をお忘れなきように。
 既出のヘクターという黒人が起こした殺人事件を報じた新聞記事を、その紳士はカフェで見かけて、食い入るように読み、驚きのあまりにカップを落としてしまうのです。このシーンは、一見何にも関係ないように見えて、ラストの感動シーンへの重要な伏線となっているので忘れないでください。

 さて、そのイタリア戦線で、アメリカ軍は実験的に黒人部隊を投入していました。戦闘中見かけた少年アンジェロを救おうとしたため、ヘクターほか4人の黒人戦闘員は、部隊から離れて、小さな村に身を寄せます。

 ここでの4人の黒人と、村の人々の交じりあうところが本編ドラマの主要部分となっていきます。何といっても、黒人を見たことがない村人にとって、人種差別なんて想像すらできなかったのです。言葉が通じない黒人を同じ人間として扱ってくれるばかりか、中にはベッドのお供までしてくれる美女まで登場!4人の黒人にとって、ここは奇跡の村といってよかったでしょう。

 ただし、 2時間40分の長編は、アンジェロとの遭遇や村人との交流の部分でかなり饒舌でした。テンポが悪く、人種差別を超えた人間同士の混じりあいの感動が、よく描き切れていないのではと感じました。

 さらに途中から、レジスタンスがドイツ兵捕虜を連れて合流することで、アンジェラが語ろることを怖がっていたセント・アンナの大虐殺(女こどもを中心に市民560名が虐殺)の全貌が明らかにされます。
 このときも捕虜となったドイツ兵は、大虐殺の時になぜアンジェラだけは逃がそうとしたのか、その心理描写が描かれていません。
 大虐殺の裏側には、レジスタンスのリーダーがセント・アンナにやってくるという密告があり、事情で遅れたため、その場にいた無関係の市民が、ドイツ軍の犠牲になってしまったのでした。

 どうやらレジスタンスの内部に通報者がいるみたいです。裏切り者は誰か?一時疑心暗鬼になるレジスタンスと村人を前にして、割とあっさりネタバレしてしまうのも残念です。もっとドキドキさせて欲しかったですね。

 通報者の手引きで、小さな村にレジスタンス掃討のためドイツ軍が襲いかかり、次々と村人たちは皆殺しにあいます。一般人とレジスタンスの区別がつかないための処置でした。
 4人の黒人たちも激しく応戦するものの、ヘクターは弾丸に倒れます。この辺は、迫力ある戦闘シーンでした。

 傷ついたヘクターを見つけたドイツ軍の将軍は、何故かヘクターを見逃して立ち去ります。結局ヘクターは、後から救出にきた味方に救われるのですが、もう少しドイツ軍の将軍の、無駄に人を殺したくないというヒューマンな気持ちに至った経緯にも、詳しく触れて欲しかったですね。

 そして黒人たちが命がけで救ったアンジェラは、どうやら殺されはしなかったようです。ただ虐殺のショックで精神に障害を来していたアンジェラは、どうなったのでしょうか?すごく気になります。しかし、その後のアンジェラの消息は触れられることはありませんでした。

 さてさて、話はまた現代に戻ります。
 殺人犯として裁かれる身となっていたヘクターは、誰かが高額な保釈金を払って、保釈されます。
 保釈金を払った人物の代理人曰く、イタリアでお世話になった人というではありませんか。仲間も村人も、みんな死んだはずなのにとヘクターは不審がります。小地蔵も、そんな人いたっけと思いました。
 ヘクターは代理人の誘導のまま、保釈金を支払ったある人物と再会します。そのラストは凄く感動しました、う~ん、これこそセント・アンナの奇跡でしたね。

 一人の少年を救おうとした人々の願いが紡いだ奇跡と言うべきでしょうか。人の絆の有り難さが身に染みるラストシーンでありました。
 結局ヘクターがわざわざ当時のドイツ軍の銃で撃ち殺そうとしたのは、かの裏切り者だったのかもしれませんね。

 ラストがよかっただけに、もう少し縮めて、ストーリー展開を際ただせれば、素晴らしい感動作となっていたことでしょう。やや残念です。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
流山の小地蔵

4.5最初から最後まで

2009年7月19日
鑑賞方法:試写会

初めは、長く感じました。
けど、終わってみれば冒頭から大切なシーンがぎっしりつまっていたことに気がつきます。
私は個人的に、冒頭でも同じシーンがあるのですが、終わりに近いシーンで再度「使われた拳銃」が映し出された時に「やられた!!こうゆうコトなのね・・・・」っと思わされました☆

丁寧に作られ、伝えたいコトがきちんと伝わってきた、素敵な映画でした♪
やはり、スパイク・リーは好きな監督です。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
rintarou

4.0起こるべくして起きた奇跡?

2009年7月17日
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

幸せ



 どうして真面目に生きてきた男が殺人事件を起こし、
 価値のある彫像を所有していたのか。

 冒頭でグッとつかみ、第2次世界大戦下のイタリアに飛び、
 謎解きをしていく、というよりも、
 スパイク・リーらしくと言えばいいのか、ナチスを単純に悪にとか、
 黒人を単純に差別するとか、というのではなく、
 ドイツ軍も連合軍もパルチザンも入り混じり、単純ではない人間の醜さと、
 純粋さを描いていく。

 じっくりと2時間40分あまりをかけて。

 助ける少年の描き方も、
 ラストの奇跡もファンタジックに描かれ上手く調和し
 トンマッコルへようこそ と同じ様な印象も受けます。

 R指定の付いてる作品ですし、
 エンドロールにはILMのクレジットもありましたので、
 戦闘シーンなどの描写はリアルですが、
 イタリアの人々に差別されない黒人兵が
 自由をはじめて感じたというようなセリフなどが強く残り、
 人種や宗教の壁って、差別する側、される側の違いってなんだろうと、
 複雑で考えさせる作品でありました。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
いきいき

5.0パンドラの箱のような映画

2009年7月15日
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

知的

ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 0件)
まゆまゆ

4.5誰かを守っている男性ってかっこいいっ!

2009年7月11日
鑑賞方法:試写会

泣ける

笑える

悲しい

「セントアンナの奇跡」を見てきましたっ!
純真な少年を守っている兵士たちが、めっちゃかっこよく見えました。
当時の、人種差別の様子がリアルに感じられる作品でもあるので、社会的な問題を知る事ができる映画でもあると思います。
ぜひ見てほしいな♪

コメントする 1件)
共感した! 0件)
ごまちん

5.0一人の少年を護る兵士達

2009年7月11日
鑑賞方法:試写会

泣ける

怖い

幸せ

1983年アメリカの郵便局で定年3ヶ月前という黒人郵便局員がドイツ製の銃で一人の男性客を銃殺。
郵便局員の家を警察が捜索したところ、1944年8月8日のナチスにより破壊されたサンタ・トリニータ橋の装飾品の頭部が見つかる(時価5億円相当)
この事件はアメリカから海を越え、イタリアの1944年8月12日にナチスにより村人500人以上の虐殺が起きたセントアンナの大虐殺の真実に繋がる…。

イタリア人兵、ドイツ人兵、アメリカ側として戦う黒人兵。1944年の戦争の背景が分からないと、少し話に苦労するかもしれません。

戦闘中の身でありながら、言葉が通じない少年と出会い、彼を護るため歩き出す兵士達。
とても残酷で悲しい映画だけれど、奇跡の実話を是非ご鑑賞ください。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
myLIZ