劇場公開日 2009年1月24日

  • 予告編を見る

レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで : インタビュー

2009年1月23日更新

刹那の恋に身を燃やした「タイタニック」とは対照的に、2人の燃え上がった愛の果てが描かれる本作。レオナルド・ディカプリオとは11年ぶりの共演となったケイト・ウィンスレットが、本作で演じた主婦エイプリルの苦悩や葛藤、レオとの再共演、そして夫サム・メンデスとの初仕事について語ってくれた。(取材・文:森山京子)

ケイト・ウィンスレット インタビュー
「撮影の終わり頃には食べ物も喉を通らないぐらい神経を消耗したわ」

50年代が舞台だが、“結婚生活”という普遍的なテーマが描かれる
50年代が舞台だが、“結婚生活”という普遍的なテーマが描かれる

――フランク役にレオを誘ったのはあなただそうですね?

「私たち『タイタニック』の時からずっと親友なの。そして、2人でまた一緒にやれる企画を探していたのよ。だからこの映画の脚本が上がって来たとき、監督はまだ決まっていなかったけれど、まずレオに渡したの。『私はすごくこれをやりたいし、2人でやれる物だと信じているわ』と言って。私は直感で反応するタイプだけど、彼は長いプロセスで深く掘り下げて考える。そして誰にも指示されず自分でジャッジするの。だからレオの返事を静かに待ったわ。その間にサム(・メンデス)が監督に決まったのよ」

――一般的には男が外に冒険を求め、女は家で安定したいというケースが多いのに、その逆というのが面白いですね。

結婚生活の理想と現実に揺れるエイプリル
結婚生活の理想と現実に揺れるエイプリル

「それだけ、女性にとって選択肢がなかった時代ということなのよ。エイプリルは、自分たちは生き甲斐のある特別な人生を送れると信じてフランクと結婚した。でも子供が生まれ、郊外に家を買って、一見豊かに見える生活にドンドン縛られていくのを感じるの。彼女は自分をごまかして生きて行くには正直過ぎたのね。そして人生を乗り換えたくても、結婚生活にしがみつくしか選択肢がなかった。今は生活が多様化しているけど、でも同じ葛藤を抱えた夫婦は多いと思うわ。50年代という時代を超えた普遍的なテーマだと思うわ」

――あなたなら、エイプリルのような状況になる前に、別の行動を起こすのでしょうね。

「私は情熱的なスピリットを持った決断の堅い人間よ。母親でいることと、仕事をしていることで、私はその情熱を形にしていける。夢を実現させることが出来るの。でもエイプリルにはそのはけ口がなかった。失望は解き放されることが出来ずに彼女の中にたまり続け、やがて彼女を押しつぶしてしまうのよ」

――痛々しい話ですね。そういう役を演じていると、役を脱ぎ捨てて自分に戻るのが難しいでしょうね。

「それはいつも私にとって大問題なの。特に今回はエイプリルをとても愛したし、彼女の心の傷みに同調して、撮影の終わり頃には食べ物も喉を通らないぐらい神経を消耗したから、撮影が終わったとたん、スペシャルな関係が突然断ち切られたようで、エイプリルを思って胸が傷んだわ。そこから回復するには、静かな自分の時間を持つしかないわね。そして子供たちの存在が助けてくれるの」

撮影中のサム・メンデスとケイト
撮影中のサム・メンデスとケイト

――仕事の現場でも、家に帰ってもずっと夫と一緒というのは大変でしたか?

「それはちょっと大変だったわね。でも驚いたことにサムは仕事と生活の切り替えがすごく上手いのよ。私はいつもその日のことを引きずって、家に帰ってからも『あのシーンがしっくりいかない』とかなんとか話し続けてしまう。大抵は、明日現場で考えようって受け付けてくれないんだけど、明日になるとアイデアを忘れてしまう!と頼み込んで、話を聞いて貰ったこともあったわ。私、サムと映画を作るのは初めてで監督としての彼を全く知らなかったけど、私の期待を遙かに上回る素晴らしい監督だった。一緒に仕事してパズルのピースが嵌るように、本当の彼が分かったのよ」

関連DVD・ブルーレイ情報をもっと見る
「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」の作品トップへ