劇場公開日 2010年12月3日

  • 予告編を見る

「B級版レディ・プレイヤー1」GAMER ゲーマー Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5B級版レディ・プレイヤー1

2022年12月11日
Androidアプリから投稿

今やSFの世界ではなくなったバーチャルの世界。もう1人の自分になれるという夢のような体験をするものだが、自身のアバターが生身の人間という極めて悪趣味なゲームに世界は熱狂している。その世界には娯楽を求める空間と戦闘を求める空間の2箇所があり、その中ではもちろん殺人もOKである。時の政府はそれを良しとするのだから世も末だが、それにはその時代の背景が色濃く出ている事が描写されていた。ゲームという誰もが嗜む物に焦点を当て、誰もが子供の頃に戻れる様な楽しい世界を描いた「レディ・プレイヤー1」。本作の公開後約10年の時を得て映像化されているが、本作は綺麗にその真逆を行く作品だ。本作では派手な戦闘が繰り広げられる前半部分と、ゲームの裏側を見る後半部分に分かれているが、前半はゴリゴリのアクション、後半がサスペンスという実に大人しく幕を下ろしてしまう展開である。初めて鑑賞した際は後半の妙に落ち着いた作風にガッカリしたものだが、数年経って観返しても結果は同じ。
しかし、良く考えれば黒幕を暴くという点では後半がサスペンスなのは当然であり、それしか成り立たせる物がない様に思える。それでも後半に盛り返してくれる作品もあるのだが、本作の難点は主人公が単独で動いているという点だ。残虐なゲーム内で仲間を作り、犠牲を払って脱走し、黒幕を仕留めるという展開ならば、「ここは任せて先に行け!」等の熱いドラマも観れただろうに、ジェラルド・バトラーという人間戦車の独壇場を優先させたのだろう。最終的にバスケのコートで一騎打ちというマニアックな構成になっている。だが、本作はあくまでもB級映画。B級だからこれで成り立つし、前半のシーンで観客が「すげぇ」と言ってくれるのだ。

Mina