劇場公開日 2009年1月31日

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「全身全霊!」愛のむきだし 77さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5全身全霊!

2011年11月8日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

怖い

難しい

有意義な4時間でした。
映画は見直す余裕も欲しいからできれば2時間に収めてほしい私ですが、きちんと考えられた、一緒に疾走できるいい4時間を過ごさせてもらいました。
こんなに長尺なのにあからさまな無駄がないというか、覚悟していた「今中弛みしてるな〜」っていう時間が全然なくて凄いと思いました。しっくりこないのはラストのワンカットくらい。(あそこが好きな人も多そうだけど)
観る前はB級丸出しな宣伝に内容も内容っぽいし4時間はきつそうだな〜と作品を知ってからずっと気になってはいたのに観るまでにかなり時間を置いてしまったけど、観てみると逆にその軽さと重さのバランスがすごくよかったです。ああ、あえてそうしたんだなという監督のこだわりを感じました。

なんというか本当に全身全霊でむきだしな作品。園さんはすごくいいタイトルつけたものです。
登場人物たちもそうだしそれ以上に監督、役者をはじめとする作り手の魂がすっっっっごく伝わってもうそれだけで大満足。
きっとすごく体力も気力も使ったことと思います。心をむきだしにしなきゃ撮れないシーンをたくさん観ました。
ストーリーは二の次というかまあ細かいことはいいか(毛色は違うけどダンサーインザダークを観たときもちょうどこんな感じでした)、とにかくこの人たちが作ったこの作品がみれてよかったと心から思います。
全くアラがないわけでもないんだけどそのアラさえ愛おしいのです。

決して今のヒットしやすい邦画のぬるま湯には浸からずに、かといって自分だけ気持ち良くなってるのを見せつけられている気にもならない、映画ってこういうことだよね役者ってこういうことだよねという感動。
新しい可能性を積極的に取り入れる監督さんって大好きなのですが、園さんのキャスティング能力は頭一つ抜けてますよね。(ヒミズも楽しみにしています。)
逸材の見つけ方活かし方。無名(多分私2008年の時点だと名前を言える人が1人いるかいないかくらいだったかもしれないです。。)やハンデ(アイドル出身とか)のある俳優を信じて手を抜かず勝負にいく潔さ。もう本当に素敵。

そしてそれに100点以上で答える役者さんたち。上手とか下手とかじゃなく、とにかく惹き込まれる。

まずは今一番気になっていて、今作のお目当てでもあった満島ひかりさん。
空いてる席を次々自分の物にしているというか、代えがきかない女優さんですよね。
でも絶対今がピークじゃなくてポスト大竹しのぶは彼女しかいないと思ってますw

そしてもう一人安藤サクラさんとの出会いは衝撃でした。
今まで邦画を積極的に観てこなかったもんだから初めて拝見したのですが絶対他の作品も観ます。
彼女はお世辞にもべっぴんさんとは言えないけれど、その姿はまさに“女優”で本当に美しい。
私、女優という肩書を持ちながら外見の美しさだけ追求してやたら整形する人が本当に不思議で不思議で。
だって一番大切な表情がなくなるから。その人にしかない特長まで仮面に覆って芝居って何?と思うし魅力ってそういうことじゃないんですよね。
安藤さんも満島さん同様、引く手数多な存在であり続けると思います。

AAAの西島さんは、彼らの音楽も全く知らないほどだったのですが、時間が経てば経つほど彼をオファーした理由に頷けました。
この作品はなるべく順番通りに撮っているような気がするのですが、そう感じたのは西島さんのお芝居がだんだんだんだん良くなるからです。
最初は中性的な声と雰囲気がサソリとユウの切り替えにぴったり!とか少し離れて見てたのに最後のサソリにはもう本当に釘付け。
もちろん無駄にアクロバティックな盗撮には笑わせて頂きましたw

ていうかあの盗撮教室?とかああいう美術さんとかエキストラさんが「私何やってるんだろう…w」ってなりそうなところまでディテールを落とさず真剣にふざける姿勢が大好きw

珍しく話の内容にほとんど触れてないレビューになりましたw
なんかそこじゃないというか、ずしんと何が心に残ってはいるもののそれをうまく言葉に表せないこの感じ。
思ったのは愛って教科書通りでも理屈でもないし、綺麗なだけでもなければすごく不確か。でもそれがいいんだなあってこと。

まだの方はぜひ観てみて下さい。

77