劇場公開日 2008年8月2日

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「闇を抱くのは子供たちだけなのか」闇の子供たち septakaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0闇を抱くのは子供たちだけなのか

2010年1月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

興奮

「海外の臓器密売のお話」
それだけ、前もって知っていました。
かなり重い作品になるだろうな、との
覚悟はしていましたが、、、、

― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

今回、映画終了後、舞台挨拶がありました。
そこで、佐藤浩市さんが話されたのが、全てかと。

「舞台挨拶は、上映終了後に、やるべきだと、
 いつも思っています。ただ、この作品に
 関しては、上映前に、やりたかったです」

ものすごい深刻に、もしかしたら、
佐藤さんご自身が、泣き出してしまうのでは
ないか、と思われるほど、でした。

この作品、
原作とは、主人公が変えられています。

原作は「NGOの女性」、
今作は「男性新聞記者」です。
男性に変更することで、
作品のテーマを、より監督の近くに寄せたかったそうなんです。

殺人シーンがあるように、
「臓器売買」が絡む、実際問題
かなりリスクの伴う作品であり、
以前ドイツクルーが、同様のテーマで
撮影をしたときも、同国内のマフィアに襲われ、
中断を余儀なくされた、そんな曰くすら、つきまとっているんです。

文字通り、命がけの撮影だったわけです。

眼をそらしたくなるようなシーンも、
眼をそらすことなく、全て描かれています。

・幼児売買
・幼児買春行為
・エイズ感染
・ペドファイル

まるで、観ている我々が吐き気を
催しそうな場面が、スクリーンに映し出されます。

この、子供を演じる子役、
現地で、オーディションで選んだ。

裸をさらしたり、
ゴミ袋に入れ捨てられたり、
銃撃をされたりする、演技とはいえ、
精神的ダメージを受けそうなシーンが
多かったので、監督は子役のケアもされたそうです。

もっとも、その監督ご自身が
一番精神的なダメージを受け、
失語症に罹り、緊急入院。
撮影を、別の監督に委ねようかと、
真剣に、考える、それほどまでに追い込まれてしまった。

舞台挨拶、
監督含め、キャストの方が、
あまりにも、真剣に、しかも長い時間、
作品の感想や、意見を、話されるので、驚きました。

それは、制作そのものが危ぶまれたことや、
作品が、はらむメッセージ性からして、
役者の方々も、それ相応の覚悟をして
挑まれたからに、違いない。

”ノンフィクションに限り無く近い、
 フィクション”そして、海外での、
幼児の虐待シーン、性交渉シーンを、
ネット上の闇サイトにアップしている日本人が多い、事実。

「こんな作品、よく映画にできたよなぁ」
今は、もうそれしか言葉がでてきません。

「上映後の感想ですか、
 上映できて、ホッとしています」
これは、監督の言霊でしょうね。

― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

【 補足 】

①撮影は、タイで行われたのですが、
 現地キャストも、タイでは映画に
 よく出演されている有名な役者さんらしいです。
 「豪華キャストは日本の役者さんだけじゃないです」
 と、監督は、誇らしげに話されていました。

②作品、音も音楽も、とてもよかった。
 EDで流れる、桑田さんの歌も、またよかった。
 そこで、もう一回、涙が溢れてしまいました。
 それは、感動ではなくて、とても辛くて。。。

③セリフのない、
 モノや動きだけで、
 魅せられるシーンが多かったです。
 そちらにも、是非、ご注目下さい。

最後に、
あんなに、重苦しく、
でも、熱い舞台挨拶は、初めてでした。
きっと、本当に、映画が大好きなんでしょうね。
そんな、作品を、鑑賞できて、うれしいです。
ありがとうございました!!

septaka