劇場公開日 2008年10月11日

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「何かを作り上げる喜びを感じる。」僕らのミライへ逆回転 いきいきさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5何かを作り上げる喜びを感じる。

2008年9月24日

泣ける

笑える

楽しい



「いや~映画ってホントにいいもんですね~」
 という水野晴郎の解説が聞こえてきそうだなぁ。

 VHSだけで営業している今にも潰れそうな
 街角のレンタルショップ BE KIND REWIND 。
 その建物は30年代に活躍した
 伝説のジャズ・ピアニスト ファッツ の生家だというが、
 再開発のためにいまや取り壊されるかもしれない運命に。
 店員のマイク(モス・デフ)は店長のフレッチャー(ダニー・グローヴァー)
 から店の留守を預かり、やる気だけは満々のマイクであったが、
 近くのトレーラーハウスに住んでいるトラブルメーカーの
 友人ジェリー(ジャック・ブラック)が、発電所で感電し、
 強力な電磁波を帯びてしまい、
 店の全部のビデオの中身が消去されるという事態に。
 困ってしまった2人は自作自演で映画をリメイクし、それを客に貸し出す。
 すると、その手作りビデオは大好評で、店は大繁盛。
 再開発によって閉店を迫られている店長を救おうと、
 2人は街の人々も巻き込んで次々と作品を作り出すが、
 その行為は違法なわけで、著作権違反なわけで、
 ハリウッドの弁護士たちが黙認するわけもなく・・・。

 他の作品は観れてませんが、もっとおバカに徹して欲しかったけど、
 それなりに面白かった ヒューマンネイチュア や、切なさ一杯で、
 ああそういうことかと思ってしまう エターナル・サンシャイン を撮った
 監督 ミシェル・ゴンドリー が、たとえチープでも、映画を、
 何かを作ることの喜びを実感させてくれる作品を、作ってくれた。
 いいでしょ、だから僕は映画を撮っているんだよ、とでも言いたげで、
 笑いの中にも、都市再開発についても、著作権についても、
 ハリウッドの現状にも、ちょっと皮肉が見えたり、見えなかったり。

 オープニングからハンドメイド感を感じさせる映像から入り、
 何なんだ?と思っていて、大好きな ジャック・ブラック も初めは、
 ちょっと抑え目な作品なのかな、という感じで、
 イマイチ乗れないなと思っていましたが、発電所に侵入しようとする時の、
 パトロールに来た警察から身を隠すシーンぐらいから
 徐々に面白くなっていき、ジェリーが発電所で感電してからは、いい感じ。

 怪優ジャック・ブラックとモス・デフの漫才は最高!
 と言えるほどハジケてはいなかったけど、
 ゆったりとした味のある漫才でしょうか。
 ジャック・ブラックは思ってたよりも暴れまわってはいなかったけど、
 悪ノリをしてる感じは、やっぱり好きだ。
 モス・デフの癒されてしまうような存在感もよくて、
 彼らを手助けしてくれるアロマを演じたメロニー・ディアスの、
 ノリの良さも、仕切りの良さも楽しい。

 リメイクされる作品は、ゴーストバスターズ、ロボコップ、
 ライオン・キング、2001年宇宙の旅、ラッシュアワー2、
 ドライビングMissデイジー、キャリー、キング・コング、
 メン・イン・ブラック、シェルブールの雨傘、ブギーナイツなどで、
 全てを観てはいないけど、その一生懸命にチープさ丸出しで、
 超が付くぐらいのアナログな製作過程は、作ってる方もすごく楽しそうで、
 こちらも楽しくなってくる。

 手元にあるVHSカメラを使い、予算なんてない中で、
 特殊スーツはアルミホイルで作り、
 ビームは飾りをブラブラさせるだけの ゴーストバスターズ。
 車の部品を集めて作った ロボコップ。
 ジャングル・ジムでのアクション ラッシュアワー2。
 その中に面白いアイデアを散りばめ笑わせ、
 遊び心が溢れていて飽きさせない。

 はっきり言って、ビデオの映像が消えてしまう過程も、
 半ばヤケクソな感じのリメイクが話題になる過程も、無理やりと言えば、
 無理やりで、ありえないのでありますが、
 ホントに単なる苦し紛れで始めた事が、1人、また1人と虜にしていき、
 街全体にその面白さが伝わっていき、多くの人を巻き込んで、
 参加させ盛り上がっていく。
 予算がなくても、機材がなくても、アイデアで、
 クリエイティブ精神を発揮すればこんなにも新しいモノが作れるのだ。
 それはみんなの希望となり、誇りとなっていく。
 デジタル全盛だからこその、アナログの温かさが心地よく、
 知ってる世代には古き良き時代を思い出させるようで、
 ノスタルジーを感じさせ、不思議な心温まる物語は、
 小さいかもしれないけど、そこで起こる奇跡のような出来事は、
 ピュアな想いに、映画への愛情に溢れていて、
 自分たちで何かを作ろうとすることの素晴らしさを感じさせる。

 笑顔にウルっとさせられ、完全にミスリードされてしまったラストに、
 いつもはこの手のパターンだと
 そんなに巧くいくかよと思ってしまうのだが、反転の素晴らしさに、
 映画っていいなぁと思う。

 はっぴいえんどにリメイク中 というコピーに偽りなし。

いきいき