劇場公開日 2008年7月5日

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「監督の構想力が試された作品だったと思うのですが」クライマーズ・ハイ カサキショーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0監督の構想力が試された作品だったと思うのですが

2009年4月29日
鑑賞方法:映画館

興奮

御巣鷹山にジャンボ機が墜ちた、忘れられない衝撃的な事件で有る。
地元新聞社は地元の意地をかけてこの事件の真相に迫る。
この事件の全権を任されたのは悠木(ゆうき)、
彼には駆け出し記者の頃に地元の大事件、浅間山荘事件を
全国紙に出し抜かれたというトラウマを抱えていた。
自分のエリアで起きた事件は地元新聞が一番だという紙面を作りたい、
スクープで他紙を出し抜きたいという思いで紙面作りを進める。

そんな熱意のもとに、同じ思いのもの、
抜け駆けしようとするもの、
足を引っ張るものが紙面作りに参加する。
兎に角、熱に浮かされたような一週間が始まる。

こんな風にまとめてくれれば良いものを、
主人公と病気で倒れてしまった友人との関係やら、
主人公と家族との関係、そんなものも、短い時間でさしこむものだから、
色んなものがてんこもりになって、
消化不良を起こしてしまった。

この作品は某公共放送でもドラマ化された。
そのドラマは連続物になったほどの長編、
それを限られた二時間という制約の中で仕上げるとするならば
焦点をキッチリ絞った方が良かったと思う。
実にもったいない出来になっている。
割りきって一週間の記者魂を賭けた物語にした方が
シンブルでわかりやすく、感動的なものになっていたのでは?

これこそ、監督の構想力が問われる種類の作品なのだろう。

カサキショー