劇場公開日 2008年4月5日

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「テムジンは民主的な政治家?」モンゴル カサキショーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0テムジンは民主的な政治家?

2008年11月9日

知的

浅野忠信主演のチンギスハーンの物語。
この作品でのテムジンの描き方は
かなり独特だと思った。
こんな描き方も、ありだ、と。
何度も挫折を繰り返しながらも、
不屈の精神で立ち上がってくる、
信念の人という観点で、
テムジンを描いていた。
事実はどうだったのかはわからないが、
冒険的な描き方であることは確かである。

そして面白かったのが、
この時代の女、子供の描き方である。
まるで戦利品の一部なのだ。
戦争に負けると妻を奪われ、
勝った時に取り戻す。
ついでにお腹の中にいる子供も一緒に付いて来るのだ。
その子の父親は誰なのかはわからない。
それを当たり前のように受け止める。

「蒼き狼」でも
テムジンの妻は一度奪われ
取り戻した時には妊娠していたから
これは公然の事実なのだろう。

それとテムジンが
何故あれほどの帝国を作る事が出来たかと
いうことを描いていた。
この時代には珍しく
彼の政治は民主的だったようだ。
その最たる事が富の分配方法で、
彼等の時代では親分の総取りだったのを、
テムジンはかなり部下へ別けてあげていたようだ。
もしかしたらそれが
彼の人気の秘密だったのかも知れない。

「蒼き狼」では、
妻が奪われ、取り戻した時には妊娠していたので、
血の繋がらない子供を受け入れる事が出来ない、
苦悩に焦点を当ていたが、
それは日本人的な感覚であり、
この作品を観たら、
そんなことに悩みを持つような
余裕など全然無い時代だった事が
よくわかった。

そんな歴史のお勉強をさせてもらいました。

カサキショー