劇場公開日 2008年5月31日

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「女性にとっての「わかるわかる」がいっぱい詰まった物語。男も楽しめますぞ!」幸せになるための27のドレス 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5女性にとっての「わかるわかる」がいっぱい詰まった物語。男も楽しめますぞ!

2008年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 メリル・ストリープが最悪の上司を演じて大ヒットした映画『プラダを着た悪魔』をご記憶の方も多いでしょう。
 この作品の脚本を担当したアライン・ブロッシュ・マッケンナが、同じコンセプトで脚本を書き下ろし、2匹のドジョウを狙った作品です。
 本作でも、仕事に頑張りつつ、結婚にも憧れている若い女性の共感を得て、ヒット間違いなしでしょう。

 小地蔵は、婦人科の映画が苦手です。女性特有の感性でないと到底理解できなく、いつか眠りについてしまう作品とかね、何とかのソナタのように、あ~だらこ~うだら散々よろめいて、もう見ていてね、えい!焦れったい、スパッと何で判断できないの?と生理的に苛つく作品が多いからです。

 ところが、この作品はストーリーテーリングが巧みで、主人公の恋いの行方が二転三転して、男性が見ても充分飽きさせない作品になっています。

 ズバリ花嫁達の付添人としていつも人の幸福ばかり祝福してきた主人公ジェーンのサクセスストーリーなんです。花嫁付添い人として着た27着のドレスは、他人の思い出のために作られたもの。それらは全て他人の幸福のメモリアルなのに、ジェーンは何の疑いもなくクローゼットにしまいこんでいたのです。
 子供の頃からすっかり結婚式マニアになっていたジェーンが、自分の思い出の1着を得るためには27着を脱ぎ捨てなければならないことに気づき、28着目のドレスを自分のために通すというお話しなんです。
 えっネタバレですか!いえいえ、仕事でもプライベートでも脇役の道を歩み続けてきたジェーンが、自分自身の本当の魅力に気づき、未来の幸せに向けて踏み出し、28着目のドレスを通すまで、物語は二転三転。結婚できることぐらいでは、ネタバレになりませんよ。それより誰とゴールインするか、最後の最後まで予測不能の展開になっていて、本当に意外なハッピーエンドでした。
 万年付添い人の自分との訣別を胸に、勇気をふりしぼって好きな人の胸の中に飛び込んでいくクライマックスでは、誰もが彼女を応援したくなるはずですよ。幸せな未来は、自分の手でつかまえるもの。ジェーンの姿を通してそう語りかけてくるこの映画は、たくさんの共感と、「あなただってできる」という勇気を与えてくれることでしょう。

 ジェーンのゴールインは一筋ならでは行きませんでした。何しろあこがれの憧れの上司ジョージは、こともあろうにニューヨークにやって来たジコチューな妹のテスに盗られてしまうのです。たまたま会社の同僚の結婚パーティーにテスを誘ったら、目と目があって、スピード結婚してしまうのですから、ジェーンにとってお先真っ暗な話です。けれどもこれまた急な破談後、ジェーンにチャンスがやってきます。このときのジェーンの意外な対応に注目してくださいね。
 意中の人を妹に取られたあげく、その結婚式の仕切役まで引き受けてしまうジェーン。責任感の強いしっかり者の一面と、結婚に夢と憧れをはせる乙女チックな一面が同居する彼女の健気なキャラクターが、この映画のいちばんの魅力です。

 方やジェーンに恋するライターのケヴィン。彼の書く『理想の結婚』レポートは、ジェーンのお気に入り記事でした。しかし偶然知り合ったケヴィンは、彼女の万年“付添い人”人生に興味を持ち、彼女を踏み台に結婚産業の欺瞞を暴く企画を思いついてしまいます。皮肉にも恋が芽生えたとき、止めたはずのジェーンの記事が発行され、絶交状態へ。
 ただでさえ、真実をつきつけてくるケヴィンとはウマがあわなかったジェーン。二人の関係がどのようにもつれ合っていくのかも、興味深いところです。

 ジェーンを見てるといつも自分のことを後回しているのです。そして誰かのために何かをする生き方が、自然と身に付いてしまったのでしょう。そんな彼女が、片思いの恋に破れ、自分の価値観を否定する男性と出会い、妹との確執を乗り越えていくうちに、自分自身を知り、成長していくわけなんです。こんなハッキリした筋なんで男性でも楽しめます。
 デートムービーには彼氏も楽しめてぴったりでしょう。交際が長引いてるカップルには、彼女の方から映画を見ながら「私もあのドレスが着てみたい」っていえば、いいきっかけになるでしょう。

 女性にとっての「わかるわかる」がいっぱい詰まった脚本。幸せな27のドレスのオンパレードに女の子ならきっと夢みちゃうことでしょう!

追伸
 昨年12月23日、ミュージシャンのジョシュ・ケリーとアツアツの新婚生活を送っているジェーン役のキャサリン・ハイグル。私生活の幸せが垣間見える演技でしたね。

流山の小地蔵