劇場公開日 2008年5月10日

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「引き金の先に、あるもの」光州5・18 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5引き金の先に、あるもの

2023年6月14日
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 冒頭のゆる~い日常。DVDなら、巻き戻せますけど、現実には、もう二度と戻らない。あの掛け替えのない日常は、決して戻らない…。
 恐ろしくウェットな仕上がりです。お客さーん、ここで泣いてーって、ADさんが舞台袖で、手を回しているのが見えるくらい、ハイパーウェットなテイスト。泣きじゃくる子供の前で、どうして兵隊さん、あんなことするかな。
 例えば自分が、劇中の兵隊さんだとしましょう。構え、銃!、撃てぃ!。その先にあるものは…。皆様なら、何処を狙って発砲します?。
 綺麗事では済まされない出来事。映画1本観ただけで、ヒトの性根が変わるわけもなく、映画1本観ただけで、洗脳状態になっても困るけど、ヒトの生死とは何か、正しさとは何か、正しさの為に、ヒトには何が許されるのか、ちょっと思い馳せるきっかけになる映画です。
 実際の光州事件は、時の政府の報道管制の為、詳細は封印されているようです。外国人記者が伝えた報道で、知れ渡ることになります。(興味ある方は「タクシー運転手」チェックしてね。)本作が、どこまて史実に忠実なのか不明ですが、大義を振り回すヒト、それに従わざるを得ないヒト、理不尽な死と向き合うヒト。私達のひとりひとりが、この事件の1ピースだとすれば、皆様は、どのピースを選択します?。本作をご覧になった後に、御決断下さい。
 驚くほど「君の涙ドナウに流れ」と、同じ展開です。でも演出が、驚くほど真逆。とにかく泣かせにきます。波状攻撃で泣かせます。そして、エンディングでとどめを刺されます。私の涙腺決壊ムービーです。

 私達は、進化していますか?。

 悲しいけど、これって…。

機動戦士・チャングム