劇場公開日 2008年6月14日

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「映画は面白い、結構笑える。でもこれが現実に自分に降りかかったらとても笑えないでしょう。なので現代のおとぎ話なんだな。」JUNO ジュノ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5映画は面白い、結構笑える。でもこれが現実に自分に降りかかったらとても笑えないでしょう。なので現代のおとぎ話なんだな。

2008年6月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 確かに「日本の作品にありがちな後ろ暗さは微塵もない。ただ事実を事実として受け止め、あっけらかんとした明るさ」が印象に残りました。
 あくまで当事者のティーンズの目線で、興味本位のセックスやその後の妊娠にいたる顛末に対し、一切批判的もせず肯定もせず、ただこうなったという傍観者の視点からカメラはJUNOを追い続けていたのです。ギャグも交えて。
 そのライトな感覚が同世代の共感を得て、ヒットに繋がった要因でしょうね。

 でも、妊娠しても前向きにケロッとして、すぐさま養子縁組を希望している夫妻を見つけて、会いに行くような肝の据わった女子高生っているものでしょうか?
 夫妻にあっても、JUNOはまるで赤ちゃんを自分の体内で「製産」し、「チューブ」から絞り出すような感覚で、ポンと渡す感じなのです。そこには微塵も出産に対する母性を見せないのですよ。
 あれでは、熊本の赤ちゃんポストと対して変わりはしないのです。
 同じ年頃のマイミクさんやコミュの人にも聞いてみたいです。
 相手の男の子も全然責任感を感じず、他のガールフレンドをデートに誘おうとしているのです。実際問題、そんなのアリ~でしょうか。
 普通のカップルはできちゃったとき、愛が深まるけれど、JUNOとポーリーの関係はその逆なんです。ネタバレになるから、うまくは言えませんが。
 映画は面白かったけれど、こんな結末でホントにいいのか、すごく疑問に思いました。
 ただ彼女自身台詞でも語っていましたけれど、こんな信じられない話をさもありなんと納得させるだけのキャラなんですね、彼女は。

 『JUNO』という名前は、ギリシャ神話のゼウス妻の名前から付けられたそうです
。ちなみに6月のJuneは、ローマ神話に出てくる女神Juno(イタリア語でユノ、英語ではジュノ)からきており、ジュノは、全知全能の神ジュピターの妻で女性の守り神、婚姻を司る神様とされていました。ジュノは、別名ヘラといい、ジュピターは、ゼウスのこといいます。
 ゼウスとヘラの結婚は 、聖婚と呼ばれとても神聖な結婚であったのですがゼウスは、浮気ものでした。浮気に対するヘラの壮絶な復讐劇は、相手の女性やその子どもにまで嫌がらせをするほど嫉妬深いものでした。
 だから海外の人がJUNOの名前にイメージするとしたら、気の強い女の子ということがすぐに浮かんでくることでしょう。『JUNO』だったらやりかねないと名前で納得する部分が大きいのでしょう。

 それとなんと言っても、ジュノを演じる御年二十歳のエレン・ペイジの演技に尽きます。主張するティーンエイジをいかにもというオシの強さで演じていました。きっと彼女は、同世代の女の子の代弁者として、同じ目線の演技をキープして、支持を掴んだのでしょう。

流山の小地蔵