劇場公開日 2008年6月14日

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「ジュノの大人への階段」JUNO ジュノ SAOSHIーTONYさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ジュノの大人への階段

2011年5月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、DVD/BD

泣ける

悲しい

知的

この作品を観終わった後私は確信しました。
あらすじを何度読んでも、予告編を何度観ても、何をしても、本編を観ない限りこの物語の良さは絶対にわかrません。おそらく、この映画のことを知った7割の人はアカデミー賞・作品賞にノミネートされようが、脚本賞を受賞しようが「16歳の少女が妊娠」という2つの数字と7つの文字を読んだだけでパスしてしまうことでしょう。しかし、それは大きな間違いだと私は思います。

主人公の高校生ジュノが同級生ポーリーとの・・・により妊娠。1度赤ちゃんを下ろそうと決心するのですが、怖くなってしまい泣きながら撤退!彼女の父親と義理の母親に事情を説明し、里親を見つけることを決意します。

「ザ マジックアワー」のときもそうでしたが、前半はかなりのスローペースで始まり、ジュノと里親候補の父親に当たるマークとの関係が物語の中心になったときは本当にどうなるのかと思いました。しかし、ジュノがマークの家に何度か遊びに行くようになってから3度目か4度目のときに彼から衝撃的な事実を伝えられ、そこから一気に引き込まれました。

扱っているテーマは重いのですが、俳優陣の演技の上手さ、コミカルで軽快なテンポ、知る人ぞ知る70年代の音楽そして、完成度の高い脚本が見事にマッチし、最高の作品へと変貌していきます。ラストの病院へ向かう時のドタバタ劇は「ノッティングヒルの恋人」でヒュー グラントが記者会見に向かうシーンを彷彿とさせる展開でとても楽しかったです。

それから、何と言っても注目なのがジュノの父親と義母の頭の回転の速さと判断力の良さです。普通、日本の家庭で今回のようなトラブルが起きた時、まず説教され“このバカちんがぁ!”と怒鳴られ、挙句の果てには、卓袱台をひっくり返えされることでしょう。(古)しかし、彼女の親は驚くほど冷静沈着で、私が若かった頃トラブルに巻きこまれたときに“親がこんなふうに行動してくれたらいいのに”と思いました。

もしも、この作品を観ようか迷っている方がいるならば、数年前に公開された「ブロークバック マウンテン」という作品のことを思い出してほしいです。あの作品も公開される以前は“ただのゲイカウボーイ映画だろう”と言われていました。しかし、その後多くの方が感動し、名作と言われるようになりました。私はこの作品は「ブロークバック~」に負けないくらいの傑作だと思います。

本当に残念なのは、この作品が「インディー ジョーンズ~」や「花男ファイナル」と言った予告を観ただけで劇場に行きたくなるような作品と公開時期が重なってしまい、アメリカで公開された時のような大ヒットにはならないことです。

私としては、日本でも多くの方に観てほし

SAOSHIーTONY