劇場公開日 2008年6月14日

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「主人公はもちろん、周りの大人たちに共感!潔ぎいい!」JUNO ジュノ ジョルジュ・トーニオさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5主人公はもちろん、周りの大人たちに共感!潔ぎいい!

2008年6月21日

幸せ

<ストーリー>
ジュノは16歳の高校生。興味本位で友達のブリーカーとした、一度だけのSEXで妊娠してしまう。最初はすぐに堕ろそうとするのだが、産婦人科で待っている間に考えが変わり、出産後養子に出すことにする。すぐに子供のいない、感じのよさそうな夫婦と養子縁組の話も進むのだが・・・

<個人的戯言>
【♪レ~ジ~メ~♪】
アカデミー脚本賞や、
わずか4館での上映から全米に拡がった等の冠にも、
その予告編を観た後も全く食指が動くことはなかったのですが、何かの解説で読んだ、

未成年の妊婦を持った親が、決してその事で娘を卑下しない態度を見せる・・・

というのに惹かれ鑑賞。

まずは70年代中心の渋い選曲と、絶妙にチープな楽曲に乗せて、
軽快な台詞を連発する主人公が超魅力的!
また周りの大人たちがかっこいい!
主人公の「相手」だけが・・・

【ぐだぐだ独り言詳細】
楽曲は70年代の既成曲と、いい感じで力の抜けた楽曲のバランスが実にいいです。

古めの曲は、
ザ・キンクス、
バデイー・ホリー(懐メロか・・・)、
モット・ザ・フープル、
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、

更にカヴァーで、
カーペンターズ(byソニック・ユース)、
♪シー・オブ・ラヴ♪(ハニー・ドリッパーズのカヴァーで有名な曲)

が流れるのとともに、

ベル・アンド・セバスチャンと、
これは私は初耳の、
キミヤ・ドーソンなるアーティストの曲が7曲も使われてます。主演のエレン・ペイジが好きなアーティストとして挙げた彼女を、監督が気にいったようですが、
かなり力の抜けた感じは、この映画にピッタリ。

この楽曲のリズムに乗るように、
主人公は結構スラングや際どい言葉の連続ですが、
汚い言葉を吐いているいうよりは、
あっけらかんとしたキャラクターを表し、
むしろいい印象です。

またそのスタンスはどんなときも変わらず、
自分の身に起こった一大事を、
悩んでオロオロするのではなく、
何とか解決しようと超前向きで、
ユーモアと潔さを感じます。

周りの大人たちがこれまた魅力的で、
特にジュノの継母がかっこいい!

継母という立場ながらとても娘のことを思っていて、
妊娠してもその事を卑下することなく、

妊娠することがとても素敵であることを伝えるところ、
むしろ無神経な外からの目から守ろうとする態度、
大人になって夫婦関係を築いていくことの難しさを説くところ等、

こちらもユーモアを持ちながらも、
凛とした姿勢にジ~ン・・・

父親も少しの戸惑いはあるものの、

自分の仕事のことも、
夫婦関係を築いてきたことも、
そして娘のことも、

誇りに思っていて、こちらもかっこいい!

里親の夫の方も、
ちょっと大人になりきれない感じが、
逆に素直に出ている役どころは、

養子を迎えることにはやるばかりの妻との対比の中で、
好感が持てる感じでした。

米映画の流れで行くと、ありがちな結末に行きそうな流れでしたが、
その流れに行かないところもかなりの好感度です。

一つわからなかったのは「相手」のブリーカー。何でこいつ・・・まあ趣味の問題と言われればそれまでですが・・・

ジョルジュ・トーニオ