劇場公開日 2009年9月4日

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「クールな映像、熱いドラマ、ノンストップの緊張感——トニー・スコットの最高傑作かも!」サブウェイ123 激突 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5クールな映像、熱いドラマ、ノンストップの緊張感——トニー・スコットの最高傑作かも!

2009年9月5日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

知的

身震いするほど粋なラストが印象的な傑作サスペンス『サブウェイパニック』をトニー・スコット監督がリメイク。

御年65歳の監督とは思えぬキレ味抜群の映像・編集センスは益々冴え渡り、息をも吐かせぬテンポとクール且つ殺伐とした空気を作品に与えている。多くの監督が彼の手法を真似ようとするが、本家本元はやはり格が違う。

オリジナルにもあったアイデアの幾つかは引き継がれているが、物語の展開や現代風アレンジも含め、オリジナルとは全くの別物。最も異なるのは“交渉役”と“犯人”の人物描写を深化させ、二人の対決の構図を前面に打ち出した点か。クライマックスに進むにつれ、物語はいつしか傷を抱えた男と男の、生き様のぶつかり合いへと変貌してゆくのだ。

息詰るサスペンスの中に“交渉役”ガーヴァーと“犯人”ライダーの心情を巧く溶け込ませた脚本は見事(これは主演二人の演技による所も大きい)。ガーヴァーの“告白”やハードル競争の助言、ライダーの最後の“要求”のシーンに思わず涙ぐんだ。クールな映像に関わらず、展開されるドラマは熱い。

エンタメ系サスペンスとして素晴らしい完成度!
個人的にはトニー・スコット作品中でも1、2を争う出来かと。

浮遊きびなご