劇場公開日 2008年5月10日

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「振り幅の激しさは半端じゃない!」ミスト live_at_luxorさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5振り幅の激しさは半端じゃない!

2009年10月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

興奮

スティーブン・キング&フランク・ダラボンという
『ショーシャンクの空に』、『グリーンマイル』のコンビによる
パニックアクション大作(??)

本当はこう言いたくはないんですけどね。
前2作のファンとしては。

心にしみる人間ドラマの代名詞みたいな作品のこのコンビで
“パニックアクション”って…

物語の始まりは、
とある猛嵐の夜から一夜明けた朝。

序盤からしばらくの導入部分は非常に分かりやすく
パニックアクションとして自然に引き込まれます。

ただその後が良くない…

序盤から中盤にさしかかり
題名となっているミスト(霧)がいよいよ本格的に発生する頃。

未知の“何か”による惨劇が始まると
空気を読めない大人たちに 泣きわめく子供も加わっての
イライラするような珍プレーのオンパレード。

登場するその“何か”といい登場人物といい
あからさまに分かりやすいありさま。

「いくら何でも安っぽ過ぎるだろ…」
と、半分辟易したまま“パニックアクション”として
物語の大半は過ぎ去って行きます。

しかし!

ただじゃあ終わらなかったさすがの名コンビ!
これは全てラストの衝撃を見るための耐える時間。

最後の最後で心の奥底からえぐり取られるような
衝撃が待ち受けていました!

ここで途中に煙たく映っていた濃い登場人物たちの
セリフや行動が伏線として生きてきます。

宗教的な何かを暗示するような…
むしろそれをも超越し得る人間という存在。

勇気、行動力、決断、団結、狂信、洗脳、抑圧、暴走、罪と罰・・・

人間の根本にある汚い部分も美しい部分もありありと描かれていた
中盤までのカオス状態が整然と思えてくるほど。

◇極限における集団心理を扱った名作『蝿の王』

◇7つの大罪をテーマにした名作『セブン』

◇ポイント・オブ・ビューと言われる主観からの映像に終始して
 大成功した『クローバーフィールド』

◇浅いところで『スターシップトゥルーパーズ』や『ジュラシックパーク』

◇果てはあのギズモでお馴染み『グレムリン』まで(笑)

過去の色々な作品が随所に思い出されました。

全て見終わったあと。

効果音のみがBGMのスタッフロールの間、
誰しもがラストの主人公の心情を考えずにはいられません…

最悪の後味の悪さと併せて
突きつけられたテーマの深さは半端じゃない。

どエス過ぎて好きな作品では到底ないのですが
くやしながらさすがと言わざるを得ない凄い作品でした。

一度見る価値は充分!

※他サイトより転載(投稿日:2009/10/18)

live_at_luxor