心霊写真

劇場公開日:

解説

母国タイで社会現象を巻き起こすヒットを記録した心霊ホラー。女性をひき逃げしてしまった主人公の周囲で、恐ろしい出来事が連発する。

2004年製作/97分/タイ
原題:Shutter
配給:クロックワークス=メディア・スーツ
劇場公開日:2006年5月20日

ストーリー

カメラマンのタン(アナンダ・エヴァリンハム)は恋人のジェーン(ナッターウィーラヌット・トーンミー)と、大学時代の友人トンの結婚式に出席し、楽しい一夜を過ごす。その帰り道、二人が乗る車の前に、突然女が飛び出してきた。ジェーンのブレーキは間に合わず、女をはねてしまう。駆け寄ろうとするジェーンをタンは引き止め、そのまま現場から逃げ去る道を選ぶ。数日後、タンが現像した写真に女の顔のようなものが浮かび上がった。心霊写真だと騒ぐジェーンをなだめるが、それ以降、2人の周りでは次々と不可解な出来事が起こり、ジェーンはひき逃げした女性の呪いだと怯えだす。タンは女性の行方を探るが、どの病院にも事故で運ばれた女性はいなかった。ある日、タンの元にげっそりとやつれたトンが訊ねてくる。「あの写真のせいだ!」と叫び、詰め寄るトンを必死になだめるが、トンはいつの間にか姿を消してしまう。心配したタンがトンの家を訪ねると、リビングの机の上には、タンのものと同じ不気味な光が映っている写真があった。タンが振り向いたその時、トンはベランダから飛び降りてしまう。友人の死に放心状態となったタンは、トンの妻から更なる衝撃の事実を知らされる。結婚式に出席していた他の二人の仲間も、同じように自殺していたのだった。なぜ事故に関係のない彼らが死んだのか。タンは混乱するが、次は自分の番なのだと気付いていた。死の運命から逃れるため、タンとジェーンは必死でその謎を解こうとする。

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映画レビュー

4.0タイ製ホラー映画の代表作

2022年12月5日
iPhoneアプリから投稿

2000年代のタイを代表する国民的ホラー映画。日本でいえば『リング』みたいな立ち位置だろうか。心霊写真という古典的だが確実に恐怖中枢を刺激する題材を起点に、過去の「ある事件」の真相へ向かって物語がサスペンスフルに展開していく。

批評家の四方田犬彦がどこかで言っていた気がするが、タイはホラー映画がとても盛んな国の一つなのだとか。これはおそらくタイの宗教観と密接な関わりがある。というのも、タイは電車の優先席の対象者に「障害者」「妊婦」「老人」と並んで「僧侶」が列せられるほどには真摯な仏教国家であり、国民一人一人の宗教への意識が比較的高い。しかしタイ仏教は、日本仏教が神道との融和を果たしたように、ピー信仰という特殊な土着宗教と分かちがたく結びついている。ピーというのは精霊という意味だが、そこには日本でいうところの妖怪に近いニュアンスがある。タイの有名な妖怪として、首から直接臓器が剝き出しでぶら下がっている気持ち悪い女の怪物がいるが、アレもピーの一種だ。そういえばこの前彼女が主題の恋愛映画が公開されてたな・・・日本には絶対来ないだろうけど。

何はともあれ、これでなんとなくタイでホラー映画が人気を博している理由がおわかりいただけたのではないかと思う。タイ人たちの仏教への関心深さは、そのままピー信仰への関心深さでもあり、それゆえピー(とそれに準ずる超自然的存在)を主題化したホラー映画もまた広く人々の関心を集めるのだ。今年の夏ごろに公開された『女神の継承』も、脚本こそ韓国人のナ・ホンジンの手によるものであったが、あのヌメっと湿度と手触りのある恐怖はまさにタイ映画という感じだった。

そうそう、この手触りというやつもけっこう重要なタームかもしれない。タイのピーには実体があることが多い。日本の幽霊やアメリカのゴーストみたいに半透明だったり足がなかったり、みたいなことはあんまりなくて、常に人間と同じだけの物理的な厚みを有している。アピチャッポンの『ブンミおじさんの森』などがいい例で、全身が毛むくじゃらになってしまった男や遥か昔に死んでしまった女が一堂に会して淡々と会話や食事をするシーンは、日本人の私からすれば不可思議きわまりなかった。

本作の幽霊もまた、幽霊と呼ぶにはあまりにも実体を有しているときがある。特に中盤以降、彼女は惜しげもなくカメラの前に姿を現し、主人公たちにほぼ物理的な危害を加える。その立ち振る舞いたるや『シャイニング』や『ミザリー』に出てくる狂人のようだ。しかし一方で忽然と姿を消し、かと思いきや鏡の中やバックミラーの中にふと現れる。そこにいるのかいないのか、存在と不在の振り子でもって主人公たちを徐々に追い詰めていく。このあたりは古き良き日本のホラー映画の方法論に近い。

つまり本作は「気狂いが襲ってくる」というサイコスリラー的恐怖と「正体不明の何かに生命を侵犯されている」というJホラー的恐怖がうまい具合にない交ぜにされているといえる。そしてそれはタイの不可思議な宗教的土壌があってこそ成立したものだ。これを相乗効果とみるか中途半端とみるかは受け手の感性次第ではあるが・・・

また前半と後半で加害者/被害者の構図が180度変転する物語構成もなかなか面白かった。『欲望』然り『血を吸うカメラ』然り、何かを撮ることの権能を無邪気に絶対化している者にはやがて無慈悲な空転や死が訪れるものだ。それは映画監督という因業な職業者たちによる自己言及的な批判意識の表れなのかもしれない。しかしまあ本作の主人公はなかなかしぶとかったな・・・ラストカットで主人公のガールフレンドが病室のドアを開けたとき、一瞬だけ幽霊に憑かれた主人公の寝姿が映る演出がニクかった。

あと作中で使われていた心霊写真は、実際に映画制作部がタイ中に募集をかけて集めたものらしい。本編中では「こんなのは偽物さ」とはぐらかしておいて、本編終了後に真実を明かすという意地の悪さもかなり素敵だ。

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因果

4.0恐怖を楽しめました。

2014年9月4日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

泣ける

悲しい

怖い

主人王がカメラマンと言うことで写真を利用した恐怖を上手く表現していると思う。
過去に、日本のテレビで放送した心霊写真と似たような写真が出て来たのを観て、心霊写真は万国共通なのかなとも感じた作品です。
主人公が交際していた女の子を冷たく捨てたことに対して、自分勝手な奴だ呪い殺されても仕方がないなと思っったのですが、しぶとくラストまで生きておりました。
女性の皆さん、こんな男とは交際しない方が良いと思いますよ。
余計なおせっかいだと言われそうですがね。

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scopy

3.5アナドレナイ、タイホラー

2014年9月4日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:TV地上波

悲しい

怖い

レビュー0の映画をレビューしていく、勝手にレビュワン映画祭(笑)

第1回目は…

『心霊写真』

このホラーは、当時見てたらトラウマには確実になってましたね。ちなみに『シャッター』という名前でハリウッドリメイクもされています。

ストーリー的には『呪怨』『リング』より遥かに怖いし、よく練られているホラー。

この作品、なんとも恐怖演出が秀逸。

常に「何かくる」というのを持続させているので緊張感が途切れない。

さらにカメラという設定だけ入れて幽霊をバンバン出すという感じじゃなく、カメラのシャッターの光や写真の演出、最後のカメラの演出など伏線の回収の仕方もカメラの設定を最後まで生かしていてゾッとさせられます。

音でビクらせる系でもあるけど幽霊の姿も結構恐いのでドキッとさせられるし恐い。

最後の扉のガラスをうまく使った演出もお見事。

だけど今作はただのホラーではなく悲しいホラーでもある。

確かに伏線を回収してゾッとはさせられるのだが、それでも一緒にいたいという思いがこちらに伝わってきて悲しい愛の物語にも感じました。

とにかく恐い作品でもあり、悲しくもなる、なかなかアナドレナイホラー。

夏の時にでも見てみてください。

ちなみにハリウッドリメイクの方は個人的にイマイチでした。奥菜恵が綺麗だけど…

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作品に向き合うゆき平
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