劇場公開日 2006年3月18日

「度し難い「サイコ」」変態村 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0度し難い「サイコ」

2023年11月5日
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鑑賞方法:VOD

多くの人は他者に受け入れられ認められたいと願う。要は愛されたいと願う。
愛を求める男たちの物語という意味では、内容的な斬新さはない。けれど、その表現方法が奇抜だ。
奇抜すぎてちょっとついていけない気さえする。

ヒッチコック監督の「サイコ」をえげつない感じにしたら「変態村」になった。そんな感じだ。
スリリングさが薄い「サイコ」だったともいえる。

村の男たちの欲求を満たすためには村の外に出るのが一番簡単に思える。それぞれ特定の誰かを求めているもののすでにその特定の誰かは誰でもよくなっているからだ。
村の外の人間に会いさえすれば欲求が満たされる可能性が高いだろう。
しかし彼らがそうしないのは、自分のテリトリーから出ようとしない男の性のような気がする。
つまり、男のダメなところをあぶり出した作品だった気がするんだな。

村の面々とは対照的な主人公は自分のテリトリーを持たず各地を転々とする旅芸人。村の男たちと対照なのだから女性的役割だったといえる。
主人公が生物学的にも女性だった場合、割と何でもない普通の映画になってしまうと思うんだよね。
男性に女性的な役割を担わせる。そうすることで作中のあらゆることに対して「コイツら何言ってんだ?」と、驚きや恐怖、または嘲笑を覚え、それがエンターテイメントになる。

とはいえ、面白かったと問われても純粋に面白かったとは返せない。
奇抜でとりとめもない、よくわからない作品で、斬新さは認めるものの、人にオススメできるような作品ではない。個人的には嫌いじゃないけれど。

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つとみ