劇場公開日 2005年4月9日

「“譜面台”と呼ばれた生徒・・・友達は歌っているのに自分はずっと譜面持ち。その後の彼の人生がどんな風だったのか無性に知りたくなった。」コーラス kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0“譜面台”と呼ばれた生徒・・・友達は歌っているのに自分はずっと譜面持ち。その後の彼の人生がどんな風だったのか無性に知りたくなった。

2020年1月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 世界的指揮者モランジュ(ジャック・ペラン)とペピノが50年ぶりの再会を果たし、マチュー先生(ジェラール・ジュニョ)の日記を基にゆったりと過去の寄宿舎生活が語られる。最初は体当たり教師による熱血学園もの映画のように始まるエピソードではあったが、次第に教育を中心とした映画ではないことがわかってくる。奇跡の歌声を持つ少年モランジュ(ジャン=バティスト・モイエ)の魅力を中心に、彼らの少年時代を通して観る者にノスタルジーを感じさせてくれる映画なのです。どちらかと言えば、バラティエ監督の私小説風映画ではあるけど、観る者それぞれの中にある純粋な気持ちを思い起こさせてくれるのではないでしょうか・・・

 俳優や子役も素晴らしく、製作・出演のジャック・ペランの息子も重要な役割であるペピノの少年時代を演じていますが、表情が豊かでとてもよかったです。もちろんジェラール・ジュニョの演技は最高で、体罰を与えない方針で熱心な教師を演じていますが、問題児の転校生モンダンを救えなかったことや個人的な理由でモランジュに歌わせないといった人間臭さも上手く表現しています。

 音楽映画という点では『スクール・オブ・ロック』、体当たり教師モノという点では『金八先生』、フランス寄宿舎映画という観点では『さよなら子供たち('87.ルイ・マル監督.この映画の校長先生も出ている)』が思い浮かびました。もう好きなジャンルだらけなので、当然評価は甘くなってしまいます。

 ボーイ・ソプラノは、いずれ声変わりするため時期の短いもの。少年時代が一生に一度の大切な思い出であると同時に、この映画『コーラス』も大切に記憶に留めておきたいものである。

〈2005年4月映画館にて〉

kossy