劇場公開日 2003年3月29日

「人の感情は抑圧されない」リベリオン 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0人の感情は抑圧されない

2020年3月9日
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鑑賞方法:DVD/BD

興奮

オスカーの常連となり、名実と共にハリウッドを代表する俳優となったクリスチャン・ベール。
そんな彼が2002年に主演したSFアクション。
オスカー級の作品に出演する事が多くなったベールが、この手の作品に出演するとは、今思うとレア。
当時ベールと言ったら子役時代の『太陽の帝国』か『アメリカン・サイコ』ぐらいしか印象無かったが、今では好きな作品を一つ選べと言われたら困るほど。

戦争防止の為、人の感情を抑圧する薬の服用が義務付けられた近未来。
違反者は容赦なく罰せられる中、体制側のジョンは薬を落とし服用しなかった事から人としての感情を取り戻し…。

近未来の管理社会、それに対するレジスタンス、闘いに身を投じていく主人公…。
世界観もステレオタイプで、はっきり言ってその後氾濫するYA小説の映画化風のB級ではある。
しかし、本作ならではの面白味がある。

公開時話題となったのが、“ガン=カタ”。
字幕表記では“銃形”となり、銃撃と日本の武術を融合させた本作オリジナルの格闘術。
やはりこのキレッキレのアクションが面白い! それを見事披露したベールも!
一対複数の場合が多く、不利な状況でも目にも止まらぬ速さで敵を瞬殺!
監督のカート・ウィマーは『ウルトラヴァイオレット』でもこれを用い、あの『ジョン・ウィック』の“ガン・フー”も少なからず影響受けている筈。

作品の方も悪くない。
薬の抑圧が切れた事により改めて知った世界の素晴らしさ。
眩く美しい陽光、ベートーベンの音楽に聞き惚れ涙を流し、子犬の愛くるしさ。
違反者の同僚や妻を自らの手で処刑した後悔。
違反者を逃がせようとしたり、違反者たちの集団の仲間となり、体制側に立ち向かう。
それまでの黒一色から一点、クライマックスは白服姿でスタイリッシュ&クールにキメる!
さすが演技派だけあって、アクションと共にそれらを体現。
共演にもエミリー・ワトソンやショーン・ビーンらなかなか実力派揃い。

公開時はヒットしなかったそうだが、ガン=カタの評判で口コミ人気に。
ベールがハリウッドを代表するトップスターとなった今、彼がレジスタンスのリーダーとなった続編を見てみたい気もする。
やりようによっては大作にも…!?

近大