劇場公開日 2013年6月1日

「真の恐怖映画」ローズマリーの赤ちゃん あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0真の恐怖映画

2019年1月25日
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いやー怖かった
派手な特殊効果も大げさな演出もない
血も一滴も流れない
それでも怖い

妊娠中の女性、新婚さんにはお勧めできません
妊娠中の不安
鈍い男性であっても不安を常に水面下に押し込めているのだから、妊娠中の女性ならマタニティーブルーになるのも無理はない
その水面下の不安を引っ張りだして風船に空気を吹き込む様に徐々に膨らましていくのだ

最初は微かに、次第に膨らみかけ、遂には風船自体が破裂するのではと思うほどに大きく恐怖が膨らんでいくのだ

それでいて、その恐怖が本当に破裂してしまわないように、笑えるシーンとして大橋巨泉に似たカメラのシャッターを盛んにきる日本人を登場させて中和してみせる位に、恐怖の大きさをコントロールしているのだ

そして、目覚まし時計のチクタク音、エアコンの風音、揺りかごのきしみ音
これらの音も巧みに操って見事な効果を発揮してみせる

そしてラストシーンとなっても、この物語は本当にそうだったのか、ローズマリーの妄想だったのか定かにはしない

果たして彼女は悪魔の赤ちゃんを本当に育てるのか
あの包丁は本当の惨劇を予告する伏線ではないのか?
恐ろしすぎる結末を予想して身をよじって身構えたときに映画は終るのだ

ロマン・ポランスキー監督の力量は凄い

何より、ミア・ファローの迫真の演技!
彼女の無邪気で可愛いキャラが、恐ろしいほどに役にマッチしている

またその夫役のジョン・カサヴェテスにも驚かされる
演技は安定感あるものだが、それよりもその風貌が、私達の知っている怪人ではなく、まるでダスティン・ホフマン風なこと
この時はシュッとした二枚目だったのだ

そして脇役陣もまた見事な配役ぶり
特に隣の老夫婦
なかでも老婦人役のルース・ゴードンは素晴らしい名演だった

美術も素晴らしい仕事をしており、ダコタハウスの内部や部屋はは当然こうだろうというものを見せてくれている

素晴らしい恐怖映画の名作だ
いやオカルト映画のジャンルを確立させた映画史残るべき作品だと思う
本作がなければ、エクソシストもオーメンも産まれ無かったのではないか

そう本作自体が悪魔の赤ちゃんだったのだ

あき240