ランボーのレビュー・感想・評価
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「異色の社会派アクション映画」なんですってね…
感情的な文章しか書けません。
一番言いたいことは、
ただただ腹が立って悲しい、です。
国のために戦って戻ってきた人に罵声を浴びせるデモ隊。
よそ者=ならず者と勝手に決めつけて即追い出そうとする保安官。
一方的に悪だと決めつけて報道や山狩りする人たち。
討ち取ったと思って大喜びしながら記念写真を撮る人たち。
誰も大佐のようにランボーと向き合って、ランボーのお話を聞かない。
それどころかランボーの心を深く傷つける。
ランボーの、少ないセリフの中の、ラストの血を吐くような嗚咽混じりの叫びに胸が詰まった。
保安官が最後生きているのが正直少し悔しいけど、
これ以上ランボーが背負わなくていい命が増えなくてよかったとは思います…。
グリンベレーはゲリラ戦で解放戦線から痛い目にあった
グリンベレーはこう言った事をベトナム解放戦線(ベトコン:差別用語)から受けた。一連の反戦ベトナム戦争と同じアメリカのベトナム戦争の言い訳。
但し、この映画だけは評価する。負の遺産と思えば良い。それを実に無様に描いている。この映画の主人公は冷静な様でいて、直情径行。自立しているようで、マザコンの様に涙を流す。心理的なトラウマをちょっとしたきっかけで表に出してしまう。つまり、もはや、ベトナム戦争で廃人になったも当然なのだろう。それをなんのてらうことなく描いている。
問題なのは見る側の問題と思う、こう言った銃を扱う世界の敷居を低くすると、あの高校の様な事件が起きかねない。いかなる理由があっても、殺人に手を貸すような事があってはならない。それは、殺されそうになった場合でも同じである。
あまりにも哀しみが深すぎる…。本当の乱暴者は一体誰なんだろう?
元グリーンベレー隊員ジョン・ランボーの戦いを描くアクション映画、『ランボー』シリーズの記念すべき第1作。
本作ではベトナム帰還兵ランボーと警官たちとの、壮絶な戦いが描かれる。
主人公ジョン・ランボーを演じるのは『デス・レース2000年』『ロッキー』シリーズの、レジェンド俳優シルベスター・スタローン。
なお、スタローンは本作の脚本も担当している。
『ロッキー』と並ぶスタローンの代表シリーズ。
実は最初から最後まで通して観るのは今回が初めて。
いや〜…、やっぱり暗くて重い映画だぁ…🌀
「『ランボー』ってあれでしょぉ?ムキムキの人が銃を撃ちまくって人を殺す映画でしょぉ?やーね。野蛮ね。乱暴ね🤷♀️」
何故かこういうパブリック・イメージを持たれている『ランボー』シリーズ。
続編はどうか知らんが、少なくともこの第1作に関しては、広く認知されているイメージとは全く真逆な作品でした。
作中での死者はわずか1人。しかもその1人は、暴走の末の自業自得。
ランボー自身は、たったの1人たりとも死者を出していないのです(犬は3匹殺っちゃったけど…🐕🐕🐕🪦)。
その風体と態度から、周囲の人間から誤解されてしまうランボー。
とあるコミュニティーからの差別、そしてそれに対するささやかな反抗をキッカケに、事態は雪だるま式に悪い方へと進んでゆく。
誤解を解こうと歩み寄るランボーに、容赦なく浴びせられる弾丸。
数百人体制で動き出した州兵たち。
そして、ワイドショーではランボーを殺人犯として報道する。
精神的にも追い詰められたランボーは、その狂気を文字通り爆発させることになる💣💥
果たしてランボーと警官、本当に乱暴者なのはどちらなのか…?
この物語の恐ろしいところは、保安官や警察、州兵たちが、物語の最後まで誰一人として自分たちの正義を疑っていないというところにあると思う。
とにかくランボーこそが諸悪の根源。奴がいなければこの町は平和なままだったのに…。と、全ての人間が思い込んでいる。
もしかしたら観客の中にも「警官に大人しく従わなかったランボーが悪いよランボーが👎」と思っている人がいるかも知れない。
本作で描かれている「町」は、正にコミュニティという概念を具現化したものである。
それは国だったり、都市だったり、会社だったり、家族だったりするんだろうが、ランボーを排斥するという描写は、要するに「人は自分の属するコミュニティの中では独善的になりがちだし、それを侵害するものにはとことん残酷になれる」ということを表しているのだと思う。
本作の最大の敵であるティーズル保安官だって、町の人からは好かれているオッさんだし、自分の住む町を守るという仕事に誇りを持っている。
彼からしてみれば、ランボーを町から追い払ったのは当然の行為であり、物語の最後までそれが差別的な行いだったと気付いていない。
そして彼は終始、今回の惨劇はランボーという頭の狂った殺人者の逆恨みだと思い込んでいる。
本作で描かれているのは、他者に対する不寛容さが引き金となって起こった暴力。
戦争やテロ、無差別殺人という暴力の中には、こういった不寛容さに端を発しているものも少なからずあるのだと思う。
自らのコミュニティを守ることに躍起になって、それを正義であると錯覚し、他者を盲目的に排斥する。
それは国家という大きなコミュニティでも、例えば学校や会社という小さなコミュニティでも、家庭というさらに小さなコミュニティでも容易に起こりうることである。
ある種の盲信的なコミュニティへの依存こそ、真に恐ろしい事態を引き起こすものだということを、この映画を観て何となく学んだような気がする。
正義とは常に疑ってかかるべきものなのだ。
どん底まで気分の暗くなる映画ではある。
抑圧されていたランボーの感情が最後に爆発するところなど、胸が締め付けられるようだった😔
しかし、トラウトマン大佐がランボーへと歩み寄るというラストシーンに、一縷の希望を見出すことが出来た。
このオッさんがランボーを蔑ろにしていたことが全ての元凶だった気もするが、それでも彼は自分の過ちに気付き、ランボーを優しく説得した。
やはり暴力の坩堝から抜け出すには「対話」しかないし、それは他者を受け入れるということに他ならない。
本作の着地点がそこであったことに、何というか非常に安心したし救われた気持ちになった。
原作では彼がランボーを撃ち殺すらしいが、映画でもそうなっていたら、流石に暗すぎると思う…🌀
本作は明らかにアメリカン・ニューシネマに属する作品。
『ロッキー』でアメリカン・ニューシネマの時代に幕を引いたスタローンが、この『ランボー』で再びそれを蘇らせたというのは、映画史的に見てもなかなかに興味深い一件なのかも。
アメリカン・ドリームを描く『ロッキー』と、ベトナム帰還兵の心の闇を描く『ランボー』。
相反するように見える2つの映画だが、1人の青年の孤独と哀しみが物語の端緒であるという点では共通している。
そこからうまく抜け出すことが出来たのがロッキー・バルボアで、そこからさらに深い闇へと堕ちていってしまったのがジョン・ランボー。
ある意味では、この2人は同一人物であるといえるのでしょう。
運命の分かれ道で、右に進むか左に進むか。その些細な選択で、人はロッキーにもランボーにもなり得る。
そういうことをスタローンは、今現在に至るまで描き続けているのではないでしょうか?
いや〜、やはりスタローンは凄い映画人だっ!🤩
乱暴な映画が嫌いな人にも観てほしい、映画史に残る傑作!👏
サバイバル映画の傑作
私にとってこの映画はベトナム戦争の後遺症を描いたというよりサバイバル映画だ。オフロードバイクのダート走法、サバイバルナイフの使い方、簡易防御服の作成方法、止血方法、方位磁石で自分位置の確認、山での食料調達、高所から飛び降りる方法、トンネルからの脱出方法等、それと軍の兵器等の扱い方も面白かった。
「ロッキー」の大成功の後で、プレッシャーもあったろうが、完成度の高い作品に出来上がった。
ラスト、この種の映画でよくあるような主人公が射殺されるパターンかと思ったが、個人的には生き延びて良かったと思う。それによって、主人公のメッセージ、あるいはスタローン自身のメッセージを伝える場面を設定したかったのかもしれない。それはベトナム帰還兵の苦悩のメッセージだった。スタローンが彼らの思いを代弁したのだ。まぁ、射殺しなかったのは続編を作るためだったかもしれないが。
なお、続編は特に賞賛するべき点は余りない。
ただのアクション映画ではない、戦争で傷を負った者の悲しみの代弁
『ロッキー』と人気を二分するシルヴェスター・スタローンの当たり役シリーズ第1作目。1982年の作品。
原題は“FIRST BLOOD”だが、邦題が逆輸入。
後のアクション映画への影響、オマージュやパロディは数知れず。
タフなアクション・ヒーローの形容詞。
色んな意味でアクション映画の名作。
『~ラスト・ブラッド』に併せてだが、見るのは随分と久し振り。おそらく20年ぶりくらい。
でも、びっくりするくらい覚えていた。
ランボーが舞台の田舎町を訪ねるファースト・シーン。
保安官に因縁を付けられる。
理不尽な逮捕。
拷問のような警察の仕打ち。
怒りが爆発。
警官隊相手に、たった一人で反撃に出る…!
闘いが始まってから、ランボーに非が無い訳ではない。
が、先に仕掛けてきたのはお前(警察)たちだ。
ベトナム帰還兵のランボー。元グリーン・ベレーの英雄。
時折蘇る、地獄のようなベトナム時代の記憶と傷…。
やっとそれらから解放され、穏やかに過ごせると思っていた。
なのに、こんな事に…。
それは警察の方も同じかもしれない。
何故、こんな事に…?
ちょっかい出してしまったのがいけなかったのか…?
両者にとってこれは悲劇。
スタローンが自分自身を重ねたロッキーはフレンドリーで陽気だが、ランボーは無口で孤高。対極的だが、それがまたハマっている。
追い詰められた崖からのダイブ。怪我とそれを自ら麻酔ナシで針で縫うシーンは、言わずと知れた伝説的なリアルガチ!
ゲリラ戦の超エリート。山に入ってからはオレの領域。気付かれず傍に潜み、突然襲い掛かる。あちこちにトラップも。
全く手足が出ない田舎警察。それでも諦めが悪い保安官。ブライアン・デネヒーの憎々しさが光る。
ランボーを説得しにやって来た元上官のトラウトマン大佐。リチャード・クレンナもハマり役。
バイクとパトカーのチェイス、ヘリの追跡、反撃ゲリラ戦、警官隊200名による大捜索…スリリングなアクション・シーンを要所要所に。
さすがジェリー・ゴールドスミスの音楽はアクション映画を格別盛り上げる。
ロケット弾が撃ち込まれた廃坑に生き埋めにされたと思われたランボーだったが、脱出。町に舞い戻り、激しい銃撃の最終決戦…!
後のシリーズでは半裸の完全超人化するランボーだが、本作ではまだ人間味が垣間見える。
傷付き、苦しみ、弱み、脆さ…。
アクション映画だが、実際は反ベトナム戦争映画だろう。
ランボーが涙ながらに感情をぶちまける、胸が張り裂けそうなほど忘れ難い悲しいラストシーン。(スタローンの熱演に目頭が熱くなってくる)
ベトナム帰還兵の代弁。
いつの世も戦争で傷を負った者たちにとって、永遠に戦争は終わらない。
でもいつか、傷が癒える事を…。
ただのアクション映画ではない
酷い目にあわされた保安官からの逃亡、そして復讐。
ただのアクション映画ではなく、ベトナム帰還兵のトラウマ、世間の風当たりの強さへの苦悩を描いている点が珍しい。
彼は保安官だけでなく、街も無茶苦茶にするが、それは祖国のために戦ったのに、市民から迫害を受けた事への怒りからなんだなと思った。
ランボーはただのめちゃくちゃアクション映画だと思っていたけど、こんなに悲哀を感じるとは思わなかった。
心に負った傷が彼を孤独にする
ランボー・シリーズ第1作。
"木曜洋画劇場「放送2000回記念第4弾!」" で鑑賞。
初鑑賞時はまだ子供で、ランボーと乱暴を混同していたバカガキでした。その時は、ストーリーについては殆ど理解出来ておらず、ただ暴れ回るランボーを観ていただけでした。
大人になった今、ランボーが抱えている背景の知識を得たことで、胸が締めつけられるような痛みを感じました。
凄惨を極めたベトナム戦争は、英雄となったランボーにいったい何をもたらしたのでしょう。過酷な戦場体験。祖国からのバッシング。無念と疎外感。深い心の傷。なんと酷なのか。
余所者と云うだけで目をつけられ、何もしていないのに勾留されたあげく、警察官に理不尽な仕打ちを受けたことで、戦場で受けた拷問の記憶が蘇り、堪忍袋の緒が切れる。「向こうが仕掛けた戦争だ」。いやはやごもっとも。
やり過ぎ保安官も朝鮮戦争からの帰還兵でしょうが、そちらとこちらでは背負っているものの種類が違う。そこに起因した軋轢があるのかもしれません。そんな彼が、ランボーに足元から銃撃されて転落するシーンで溜飲が下がりましたが、同時に物悲しさも感じてしまい複雑な心境でした。
クライマックスのトラウトマン大佐への告白にジーン…と来て、めちゃくちゃ考えさせられました。ランボーのような人を生み出してしまう戦争を、憎み続けるべきです。
[以降の鑑賞記録]
2008/05/22:木曜洋画劇場
2020/08/27:Amazon Prime Video(4K,吹替,レンタル)
※修正(2023/11/29)
They drew a first blood, not me. これは名作!
スタローンの「ロッキー」と双璧をなす代表作です。いやー、確かに面白かった。
評価が上がるポイントとしては最後の独白ではないでしょうか?それまで無口だったランボーの独白。グッと心を捕まれます。正直それまではランボーが田舎町破壊し過ぎてて、いくらなんでもないわ~っと思ってたのですが、あのシーンで評価が一変しました。単なるアクション映画と一線を画するシーンですね。
ベトナム戦争って結局アメリカ人も向き合う事が難しい戦争だったと思うんですよね。勝ったか負けたかすらよくわからず。そんなベトナム戦争のPTSDに苦しむ兵士をスタローンは見事に体現していたと思います。
しかし、町の警察は良く元グリーンベレーの兵士に喧嘩売ろうと思ったよなぁ。ムリムリ、警察とグリーンベレーだったら勝てるわけないって。悪役ポジションだから仕方ないですが、警察が理不尽過ぎてビックリしました。今だったら余裕で訴えられてるでしょう。そういえば、ちょっとお間抜けな州兵は何だったんでしょうか?ランボーとの対比?
後に「CSI; マイアミ」のホレイショ役で渋い演技を魅せるデヴィット・カルーソが若い警官役で出てたんでビックリしました。CSI と全然違うっ!
何となく単なるアクション映画なイメージのあったランボーですが、この一作目は間違いなく名作です。スタローンって意外と演技派だったんだっという新たな発見も含め、多くの人に観てもらいたい一作です。
俺の戦争は終わってない!
総合:90点 ( ストーリー:90点|キャスト:95点|演出:80点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
元特殊部隊兵士の活躍する今までに無かった活劇と、社会問題を内包したベトナム帰還兵の苦悩の両方を堪能出来る優秀作品。それをまだ若いスタローンが、鍛えられた肉体で熱演。
アメリカ陸軍特殊部隊、通称グリーンベレーとしてベトナム戦争で大きな功績をあげた元兵士は、ひとたび山に入ってしまえばたった一人で多数を翻弄し殲滅しかねない恐ろしい怪物になる。彼は自然の中に身を隠しながら相手の武器を奪い、罠を仕掛け、囮で欺き、軍用の短剣一つで必要なものを現地調達しながら、地形を生かして変幻自在に相手を惑わす。厳しい特殊訓練を積み実戦を経験した経歴にふさわしい特殊部隊の兵士の凄さと怖さは、ただの兵士ではないのだと地元警察と視聴者に見せつける。
そのような主人公の活劇が、まずこの作品の大きな独自性であり見せ場になっているし、この当時それだけで十分に画期的だった。またそのような凄腕の主人公の背景の設定が、この作品を兵士が登場する他の作品と比較して斬新であったし新しい分野を切り開いていた。
今改めて観てみると、緩い演出も時にはある。警察署長に山奥でナイフを突きつけておきながら、相手の武器や装備を奪うことなく脅すだけで解放し、そのまま反撃も受けないというくだりがある。ここは捕らえた相手を反撃出来ないように武器を奪うとかの処理をどうしたのか、そして山の中で生き抜く為に装備を奪ったのか、もっときっちりと描くべきだった。時には吐く息も白いどんよりとした天候の北国の山奥にいながら、相手の服を奪うことなく映画の最後まで薄着で動き回るのは、何もスタローンが人並み外れたすごい暑がりであるからなわけではなく、その鍛え上げられた肉体を見せつけて格好いいと思われたいためであろう。でもそれは元特殊部隊兵士の動きとしては不自然。
そのような部分があったとしても、常人には及びもつかないグリーンベレーの能力をたっぷりと見せつけてくれた展開は凄かった。スタローンは素晴らしい肉体を持っていたし、激しい活劇を自ら演じた。崖から木に飛び降りる場面の撮影は、骨折をして入院するほどの大怪我をして撮影が中断したと聞く。体を張って精一杯この役を演じていた。
またこの作品の質を高めているのは、ただの特殊部隊兵士の活劇に留まることなく、ベトナム帰還兵の問題を取り上げていることである。国のためといってベトナムに行って、地獄のような戦闘に身を捧げ、戦友達の死を見つめ、命を削りながらやっと生き残り帰国したのに、母国アメリカで待っていたのは厳しい現実だった。
自分たちがどのような経験をしたかを理解されること無くただ人殺しと罵られ、素晴らしい能力がありながら駐車場係のような馬鹿みたいな簡単な仕事に就くことすら出来ない。死線をくぐり共に戦った友人はみんな死に、彼の戦争を知らない同じアメリカ人は、彼を賞賛するどころか邪魔者扱いする。戦争の心的外傷後ストレス障害で精神を苛まれて、枯葉剤の影響で肉体を蝕まれる。そしてどこに行っても蔑まれて自分の居場所すら見つけられない。
実際、ランボーは古い戦友をはるか遠くから訪ねるのに車すら運転出来ていない。おそらくこの北国の町までも、安い長距離バスを乗り継ぐか、通りがかりのトラックか何かに無料で乗せてもらってやっと辿り着いたのだろう。
私も記録映像を観たことがあるが、実際、ベトナム帰還兵の生活苦と精神変調は当時の大きな社会問題になっていた。そのような帰還兵の苦悩を上手く物語に取り入れて、「戦争は終わったんだ」と言うトラウトマン大佐に、「何も終わってなんかいない!」とランボーに自分がベトナムだけでなくアメリカでどんな苦難を経験したのか・どんな仕打ちを受けたのか・共に死線をくぐった友はどうなったのか、その思いを泣きながら叫ばせ吐き出させたことで、この物語がアメリカの社会問題を含んだとても深みのあるものになった。
「俺が法律だ」と堂々と言い切り、自分の町を自分のやり方で守るという昔気質の警察署長は、警官というより昔の西部劇の保安官のよう。でも当時のアメリカの警察の規律の緩さがあることを想定すれば、あながち荒唐無稽とは言えないと思う。悪役だし好きにはなれないけれど、犯罪を犯しそうな奴を町に入れたくないという彼には彼なりの信条があったし、劇の中ではいい意味でも悪い意味でも存在感の高い役柄だった。それからランボーを理解し信頼関係があったトラウトマン大佐は渋い。
そして言うまでも無くスタローンは頑張った。普段は駐車場係にすらなれない男が、布切れを頭に巻いて太い筋肉のついた腕でM60機関銃を撃つ姿は、本当にさまになった。体当たりで危険な活劇に挑み、正しく評価も理解もされず社会からはみ出した帰還兵の孤独な姿を演じた。私の観たスタローン作品の中では『ロッキー』の次に良い出来映えであり良い演技だった。スタローンは大根役者ではなく、役柄がはまれば本当に映えるのだ。
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