劇場公開日 1971年4月24日

「デビッド・リーン監督が超一級の映像作家であることを再認識出来る作品に…」ライアンの娘 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5デビッド・リーン監督が超一級の映像作家であることを再認識出来る作品に…

2023年2月20日
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鑑賞方法:DVD/BD

この作品、映画館での鑑賞後は
一度テレビでも観た記憶があったが、
これまで、「戦場にかける橋」や
「アラビアのロレンス」よりも
格下に見ていた作品。
しかし、認識を改める再鑑賞となった。

自分もそれなりの年齢に達したためか、
此の度の鑑賞では、以前は納得出来なかった
不倫の二人の身勝手な振る舞いも、
赦されないこととは言え、
それなりの背景があったことなど、
今回は各登場人物の内面が丁寧に
描かれていた事に気付くことも多く、
この作品への理解が進んだ。

それにしても教師の無念さは
いかばかりであったろうか。
それこそ最後に夫婦に襲いかかった
偏狭な村社会における
民衆の因習性や民意の低さを打破すべく
赴任してきたのだろうが、
高い壁に跳ね返させられて
村を去らなければいけなかったのだから。

だが、ラストシーンは、苦難の末に
新しい境地に達した夫婦の希望の出発と
私には思え、涙を禁じ得なかった。

この作品、嵐の海岸での武器回収シーンが
「アラビアの…」や「戦場に…」にも
引けを取らないスペクタクルシーンとして
魅せるものの、本来この作品全体は
スペクタクル物ではないのだが、
それでもこのような大作感溢れるが如く
仕上げるリーン監督は、
相変わらずの完璧な映像とストーリー展開も
相まって、
やはり超一級の映像作家であることを
再認識出来る鑑賞となった。

KENZO一級建築士事務所
kossyさんのコメント
2023年2月20日

KENZOさん、共感ありがとうございます。
年齢によって見方が変わる映画ってありますよね。
俺にとっては『マディソン郡の橋』なんかがそうでした。
不倫に対する嫌悪感・・・加齢とともに和らいでしまいました(汗

kossy