劇場公開日 1986年4月26日

「ロシアはこの時代のソ連に戻ってしまったか…」ホワイトナイツ 白夜 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ロシアはこの時代のソ連に戻ってしまったか…

2022年3月25日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ロシアのウクライナ侵攻の現状においては
興味深い作品となった。

先ずは冒頭のバリシニコフの
見事なダンスに心を奪われ、
ダンスに門外漢の私でも、
ハインズのタップと共に魅了される。

しかし、皮肉にもこのダンスシーンが
この作品の欠点にもなってしまった印象だ。
ストーリー展開上は
冗長な構成要素になってしまい、
ラストの脱出シーンの
リアリティを欠いた描写にも
繋がってしまったように思える。
私的には、脱出のアクション面では無く、
例えば、観客披露の最中に乗じて行った
「サウンド・オブ・ミュージック」の
脱出劇のような、
三人の心理面を中心に描いていたら
感動も高まったような気がする。

そして、この作品には、東側の自由の欠如
等、西側のプロパガンダ的要素が
色濃く感じられる。
そもそもが旧ソ連での物語なので、
KGB大佐の暗躍等が描かれるが、それが
現在のロシアをも想起させてしまう。
ロシアは1991年に民主主義を獲得した国の
はずなのだが、まるでこの映画のソ連と
重なって見えてしまい、
ウクライナ侵攻でロシアの自由の欠如を
露見してしまった観点で、
この作品が現代にも意味を持つように
なってしまったのは
プーチンの誤算の一つだったかも知れない。

KENZO一級建築士事務所