劇場公開日 2000年12月23日

「この映画のブルーノ・ガンツが一番好きだー!」ベニスで恋して talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5この映画のブルーノ・ガンツが一番好きだー!

2024年5月8日
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鑑賞方法:DVD/BD

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こういうブルーノ・ガンツが居るなんて。ガンツ演じるフェルナンドは少し悲しい部分と優しい部分を最初から持ち合わせていた。忽然と現れたイタリア人主婦を丁重に扱う。

ガンツのイタリア語は本当に素晴らしい。『狂えるオーランド』を年だから忘れてしまったと言いながら素敵に暗誦する。イタリア人もびっくりの語彙と表現と教養だ。アイスランド人設定というのもよかった。ロザルバのために用意した朝食がどーんとしたパンで、イタリア式朝食でなかったことに結構感動した。

ロザルバは典型的主婦で夫にも息子にも家庭にも日々の生活にも満足していた。ただ家族との旅行でテンパっていたのかドジで行き当たりばったりが引き金になって、いつの間にか怖いもの知らずのベニスを夢見る少女になっていた。そうしたら自分の中にあったものがドンドン出てきた:草花を育てるのが上手い、花屋に雇ってもらってお金を稼ぐ、アコーディオンを弾ける、人懐っこくて色んな人に出会って仲良くなれる。

一方で、フェルナンドは自殺を考えていた。試みようともした。でもロザルバが現れてから変化が起きた。ロザルバは放っておけば家族のもとに戻って今までの生活を続けるタイプだ。それはわかっていた。そして目の前のチューリップの花びらの最後のひとひらが落ちたところでフェルナンドは決心する。自分を死から引き上げ、生きる喜びをプレゼントしてくれたロザルバ。

花束持って登場したフェルナンドにロザルバはびっくりしたけれど、行き当たりばったりが得意だから大丈夫。二人の息子はしっかりしている。旦那は・・・どうにかなるでしょう。

原題「パンとチューリップ」がとても洒落ている。「フェルナンド🍞とロザルバ🌷」だね。というか、イタリアが絡む映画の邦題に無意味に安易にイタリア観光地名を入れないで欲しい。原題どころか内容にも関係ないのに、ローマとかトスカーナとかシチリアとかナポリとかミラノとか!むかつくー!

おまけ
ブルーノ・ガンツはスイス国籍。父はドイツ系スイス人、母はイタリア人!ブルーノはヴェネチアやベルリンにも住んでいたが生まれも亡くなったのもスイスのチューリッヒ。知らなかった。DVDおまけの「監督インタビュー」で、監督がブルーノに会いにチューリッヒへ行きイタリア語があまりに上手で驚いたと言っていた。チューリッヒ❓️と思いちょっと調べたら色々わかった。ガンツはドイツ語、スイスドイツ語を話し、フランス語もイタリア語も流暢に話す。彼は映画俳優である前に舞台俳優だ。私が愛するイタリア人俳優トニ・セルヴィッロは舞台と映画の関係を「寝室を別にしている夫婦」と言った(2023年のイタリア映画祭にて)💕ガンツは映画「ハイジ」でおじいちゃん役を演じることに。その時の言葉:私はスイス人で、今ちょうど相応しい年齢だ。それでこの役を演じなかったら後悔したに決まっている。
おまけもあるからお家でのDVD鑑賞悪くない!

talisman
kossyさんのコメント
2024年5月8日

まさしくガツンとやられたわけですね~

kossy