劇場公開日 1993年12月11日

「〈バロック〉と グリーナウェイ」ベイビー・オブ・マコン jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0〈バロック〉と グリーナウェイ

2020年6月7日
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17世紀 バロック全盛のイタリア
後の大公となる少年が「宗教劇」を観劇するのだが…

劇場が ローマのコルナロ礼拝堂を連想させるかな
彼や取り巻きも劇に乱入、虚構(舞台)と現実(観客席)を往復し 映画観賞者も観客席に座っているような錯覚に陥る

劇では 奇跡の子が姉に利用され、既存宗教で更に搾取が発展し 死に至る(虐待/受難)
処女懐胎を偽装した姉は 欲望の為にその役割(聖母)を放棄しようとして、惨劇を招く

舞台に乱入した少年は 彼女に対する(倒錯した)刑を提案し、司祭も同意する
娘は死に、奇跡の子も聖餐となる(カニバリズム)

奇跡の子の実親も殺害され ベルニーニの彫像のように晒される
(後に また美しく偽装されるに違いない)

エログロを駆使して 人間のエゴや欲望の暗黒面、深さを思い知らされる
急所を突いていて グリーナウェイらしい映画なのだろう

オーモンド(娘)とファインズ(司祭の息子)が全裸で血まみれになり熱演してるが
格闘のようでもあり、よく出演したな… と思わされた

搾取、幼児虐待、カニバリズム(臓器売買を連想させる)は 現代でも継続中で
色々考えさせられる

食前、食中には お薦めできない映画

jarinkochie