劇場公開日 1988年4月29日

「硬軟両派」ブロードキャスト・ニュース Kjさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5硬軟両派

2021年1月23日
iPhoneアプリから投稿

この時代らしいというか、女性の職場進出に恋愛もついてくるトレンディードラマ。ところが、恋愛ドラマという枠には収まらない硬軟両派の生き方の違いから職業倫理、更には両党の不可避の決裂と包含という現実を突きつけてくる。
槍玉にされても然るべきウィリアムハートのニヤケ顔は説得力十分、周囲の基準を押し下げる悪魔の所業と断じられるが、他方、彼が軟派でなければ生きられなかった経緯、本番前に秘伝の「シャツ」を開け、スタジオでは恐ろしいまでの完璧さを保つ。アーロンへのレクチャーで見せた軟派の極意、いやはや侮れぬ。最後のオチ、7年後の顛末と、社会への警鐘を忘れない。
職業紹介ものとしても面白い。締め切りギリギリの編集からジョーンキューザックのアクロバティックな走り、特別番組でのフロアとスタジオのやりとり。耳から口へと流れていく言葉。「頭の中に君がいた」は名台詞である。
何よりもホリーハンターのキュート百変化。冒頭の編集シーンでの噴き出す笑顔の完璧さにやられる。泣く、焦らす、試す、企む、真面目に切り返す、叫ぶ、怒る、デレデレ、世話を焼く、周囲を気遣う、自己嫌悪、呆ける、パンスト脱ぎ捨てる、眠気まなこで電話に出る。どのカットも魅力がはちきれている。ラストの7年後では、それを抑制。凄いものだ。ダサ可愛いシャツやトレーナーまでが愛おしい。

Kj