劇場公開日 1994年3月19日

日の名残りのレビュー・感想・評価

全45件中、41~45件目を表示

4.5古き良きイギリスの全てが詰まった、とってもイギリス的な映画

2017年11月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

イギリス好きとして本当にうっとりしてしまう映像ばかりで、映像も精神もことばも衣装も文化も、何もかもがイギリスにあふれている、そんな映画。

戦時中のイギリス貴族に使える執事が主人公ですが、そこから見える当時の景色がとても面白い。貴族と執事という圧倒的な格差。イギリス・フランスが新興国アメリカに対して持つ想い、この描写は中々イギリス的だった。屋敷でふるまわれる紅茶とブランデーと葉巻、それに対する町のパブのビール。貴族が乗り回すクラシックカー(これがまたカッコいい!!)と、ミス・ケントンの自転車。マナーハウスの美しさも素晴らしいけれど、個人的には貴族たちの衣装に終始釘付けでした。ツイードのスリーピースのスーツ、蝶ネクタイの燕尾服、どれもディテールが凝っていて素敵です。

あとは、字幕だとわからなくなってしまいますが、おそらくとんでもなく回りくどい英語を話していたのも、上流階級だなぁとうっとり聞いていました。

主人に尽くす執事と共に働く女性のプラトニックな恋が出てきますが、メインは執事の執念的な生き方であって、こーゆう生き方が存在する点で、日本とイギリスは似ているところがある気がします。多分、アメリカ人には作れない物語。ところどころ、イギリスっぽい皮肉的な表現やブラックジョークがあったのもまた良かった。

とはいえ、最終的に屋敷はアメリカ人の手に渡るわけですが… 彼はどういう意図でこの屋敷を買ったのか。そういえば、最初のオークションの意味がちょっとわからなかった。。。

主人公の執事はあのハンニバルことアンソニー・ホプキンスが演じて素晴らしいのですが、見どころは美しすぎる若き日のヒュー・グラントでしょうか。本当にかっこいいです。

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あにー

4.0人に仕えるという仕事

2014年10月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

幸せ

原作は、日系イギリス人の作家カズオ・イシグロさん。それはそれは美しい英国の物語、人物描写・厳格・伝統・造形美…様々な視点から深くて静かな感動を呼び起こす作品です。見終わったあと、「日の名残り」というタイトル名がいかにベストマッチしたものであるか感嘆のため息がでるようです。アンソニー・ホプキンス、エマ・トンプソン他、名優人達が素晴らしい! 特典映像(特にカットシーン)もすべて観る事をおすすめします。

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sonje

3.5時代に取り残されても今更生き方を変えられない

2013年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合:70点
ストーリー: 65
キャスト: 80
演出: 75
ビジュアル: 75
音楽: 80

 原作を読んだことがないが、NHKの英語教育番組で昔に日系英国人であるカズオ・イシグロのこの本のことを取り上げていたので存在は知っていた。執事を主人公にした珍しい作品で、英国の伝統の尊厳を感じさせる。本作も含めて英国文学を基にした時代劇(というほど古くもないが)は格調と質が高い物が多い。
 自分の仕事に誇りを持つが、仕事一筋でお堅いがゆえに本当の自分を出すことが出来ない男が何とももどかしく、彼自身の心の中にも後悔や喪失感もあるだろう。気になる女性が精一杯の告白をしたり泣いたりしていても、仕事に結びつけた振る舞いしかすることが出来ない。それはまるで真面目で純情な中学生の生徒会長のような行動である。もうこのような貴族の下で自分を押し殺す職業の時代は、窮屈な屋敷に迷い込んだ後で自由に空に向かって飛び立つ鳩のように過ぎ去っていくのかもしれない。屋敷からは英国貴族が去り、貴族とは縁のない平等の米国から新たに主人がやって来る。それでも今更過去にも戻れずそれ以外の生き方を知らず、それを変えることも出来ないやりきれなさが残る。
 でも時代に取り残された男の、たったそれだけの物語でもあった。演技・映像・音楽は良かったし文学的な美しさや儚さはあるのだけれど、物語自体にすごく面白い物語かといえばそうでもなった。自分が貴族社会に生きていないから、思い入れが少ないのが原因かもしれない。

 自らを人道主義者と思い込んで高潔な理想を掲げ、自分の信念に基づいて行動し、それがかえって世界を破滅に導いてしまうダーリントン卿。これはただの映画だし主題とは関係ないのだが、現代の日本もそうだがどの時代にもこんなおめでたい人々がいたのだなと思った。

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Cape God

4.0執事という生き方

2012年2月2日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

先に原作を読み、DVDで見た。

原作には、田園風景などイギリスの美しい景色が描かれていて楽しみにしていたが、
映画ではほとんど省かれていて残念だった。

ジェームズ・アイボリー監督の作品は「眺めのいい部屋」と「モーリス」しか見てなかったが、
豪華な額縁に入った具象絵画のような重厚な作品の内側に、自由な感性と奔放な情熱が感じられて
とても良かったので、期待して見た。

導入部は、ワクワクしていたが、執事長の矜持を醒めた眼で見るように感じられる部分があり、
原作とは全く異なる印象だった。

原作は執事長の心情に寄り添って書かれているが、映画になる事で、彼が見ないようにしてきた
彼を取り巻く世界の無情な変化と、彼の滑稽なまでの執事としての生き方へのこだわりが、
見る側にはっきりと伝わる事になったのだろう。

アンソニー・ホプキンスが上手いのは言うまでもないが、エマ・トンプソンの演技が素晴らしく、
彼女を知っただけで、見る価値はあった。

どちらも劇場で見る事はできなかったが、同じカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」は、
原作者が製作に参加しているので、原作の雰囲気を大事にしているだろうと楽しみにしている。

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ミア

3.0時代の変化に大人の愛の変化を見る。

2009年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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Chemy