日の名残り

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

ブッカー賞を受賞したカズオ・イシグロの同名ベストセラーを、「眺めのいい部屋」のジェームズ・アイボリー監督が映画化。イギリスの名門貴族に人生を捧げてきた老執事が自らの過去を回想する姿を丹念かつ重厚な演出で描き、第66回アカデミー賞で作品賞を含む8部門にノミネートされた。1958年、オックスフォード。ダーリントン卿の屋敷で長年に渡って執事を務めてきたスティーブンスは、主人亡き後、屋敷を買い取ったアメリカ人富豪ルイスに仕えることに。そんな彼のもとに、かつてともに屋敷で働いていた女性ケントンから手紙が届く。20年前、職務に忠実なスティーブンスと勝ち気なケントンは対立を繰り返しながらも、密かに惹かれ合っていた。ある日、ケントンに結婚話が舞い込み……。アイボリー監督の前作「ハワーズ・エンド」に続いてアンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンが共演した。

1993年製作/134分/G/アメリカ
原題:The Remains of the Day
配給:コロンビア トライスター映画
劇場公開日:1994年3月19日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第51回 ゴールデングローブ賞(1994年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) アンソニー・ホプキンス
最優秀主演女優賞(ドラマ) エマ・トンプソン
最優秀監督賞 ジェームズ・アイボリー
最優秀脚本賞 ルース・プラバー・ジャブバーラ
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映画レビュー

4.0カズオイシグロ小説の映画

2024年3月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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RIRI

4.0仕事一筋に生きる事は決して美徳では無いかも〜

2024年2月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

知的

ノーベル賞作家カズオ・イシグロの
おそらく1番有名な原作の映画化。
もう随分以前の作品で、名前は良く知ってましたが、
午前十時の映画祭で初めてじっくり観ました。

初老の執事に旧知の女性から届いた手紙がきっかけで
その女性と一緒に働いていた日々の回想へと入って行く、
と言う感じで、ある程度の年齢の人の方が
心に響きそうな内容です。

自分の使える主人の思想や振る舞いに、
人としては納得出来ないモノを感じながらも、
執事の仕事に誇りを持つ主人公は
自分の葛藤を隠して黙々と仕事に殉じて行く。
あまりにその思いに忠実であるため、
自分の恋心さえ、悟られまいと押し隠す。

舞台はイギリスの貴族社会ではあるけど、
主人公の振る舞いは、何となく、
企業の不正を知りつつも、仕事への誇りのあまり
企業の闇に飲み込まれてゆく現在のサラリーマンにも
通じるような理不尽さが結構切ない。

で、月に8回程映画館に通う中途半端な映画好きとしては

主人公を演じるアンソニー・ホプキンスの
ストイックな演技が、流石に見ものです。

無表情の表情。

そんな合間に僅かに見せる動揺シーンが印象的。

密かに心を寄せている女性エマ・トンプソンが、
ホプキンスの読んでいた小説を
その手から奪い取ろうとした時、
絶対に見られたくなかったホプキンスの表情が、
見ようによっては恐ろしげで、
もしやドクター・レクターに豹変しやしないか(笑)
なんだ別の意味でドキドキしてしまった。

冒頭の見もの、
華やかなりし大英帝国貴族の贅沢な遊び「狐狩り」の
勇壮なシーンは、今の時代ではもしかしたら
もう撮影出来ないかも??

それから、
第二次世界大戦で一人勝ちしたアメリカの
富豪の役を故クリストファー・リーブが演じてます。
あのスーパーマンのクリストファー・リーブ!
イギリスとは違う新興勢力の勝ち誇った王者感が
よく出てました(笑)

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星のナターシャnova

5.0退職後を人生で一番いい時間にしたい

2022年9月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

原題は「the Remains of the Day(日が暮れる前のひととき、1日で最も素晴らしい時間)」です。
邦題は「日の名残り」です。
原題の方が映画の内容をよく表しています。
邦題は、意味不明です。

原作の「日の名残り」も読みましたが、映画の方が良いと感じました。
「日の名残り」は、英国人向けに書かれている小説を映画化しているので、日本人には理解しにくいです。
細かい点については考えずに、そういうものだと解釈するほうが良いです。
伏線があり、伏線が回収されるので、ストーリーは良くできています。
時間が前後するので、ストーリーを理解するには、苦労します。
以下の名言もり、心に響きます。
・覆水、盆に返らず
・人は皆、人生に悔いがあります
・夕暮れが一日で一番いい時間

時代背景を気にしすぎると、時代を超える普遍性が感じにくくなります。
時代を超える普遍性に、注目した方が面白く、得られる物があります。
時代を超える普遍性は、「人生は一度きり、皆、後悔しますが、人生を変えることはできず、人生の最後が人生で一番いい時間」ということです。
このように考えることが出来れば、老若男女のすべての人にお勧めできる映画です。
友人、カップル、夫婦、一人で鑑賞しても良い映画です。

政治家は、歴史を知り、情報に詳しく、人脈があっても「アマチュア」です。
政治家は、歴史を知り、情報に詳しく、人脈があり、将来を見通せて「プロ」と呼ばれます。
将来を見通せることが出来ない政治家は、国民に選挙で選ばれることで、将来の責任を国民に押してける結果になります。
日本の政治は、三権分立も、民主主義も機能せず、変化に対応できず、世襲議員は貴族のようで、永田町の中だけで政治を行っている「アマチュア」です。
日本人は、民主主義のために戦ったことありません。

主人公は、父親と母親の間に問題があり、結婚に前向きになれず、執事として職場恋愛による人材不足に対応してきたので、執事として恋愛はできませんが、恋愛小説は好きです。
若い人は職場恋愛をして結婚しているので、主人公もヒロインと恋愛して、結婚すれば良いと感じさせるストーリが良いです。

主人公は、生涯独身でしょうが、2020年の日本の生涯未婚率は男28.3%で、女17.8%です。
日本に主人公と同じような人は多くいます。
独身で有名人は以下の通りです。
安住紳一郎さん、長瀬智也さん、伊勢谷友介さん、平井堅さん、中村俊介さん、金城武さん、東幹久さん
森口博子さん、井森美幸さん、天海祐希さん、片平なぎささん、島崎和歌子さん、松下由樹さん、石田ゆり子さん

現状維持で変わろうともしない主人公の人生と現状を変えていくヒロインの人生を比較してみるのも楽しいです。
主人公は、やらなかったことへの後悔があります。
ヒロインは、やってしまったことへの後悔があります。
「人は皆、人生に悔いがあります」ということです。
自分で決める、他人とは比べない、失敗をおそれずに、実行することが重要に思えてきます。
アマゾンを起業したジェフ・ベゾスは、この原作を読んで、人生に悔いを残さないために、アマゾンを起業したそうです。
この原作を読んで、この映画を鑑賞して、人生に悔いを残さないために、起業する日本人はいるのでしょうか?

主人公の父親に注目すると、役職定年、高年齢者雇用安定法が改正され70歳まで働かなければならない日本社会の現実の厳しさを再認識させられます。
退職するという引き際についても考えさせられます。

ヒロインの夫に注目すると、辞職し、無職になり、ヒロインにプロポーズするのは無謀とも考えられますが違います。
ヒロインの夫は、故郷に帰り、ヒロインと二度と会うことはないので、プロポーズして、受け入れられなければ、ヒロインに対する思いを引きずることなく、故郷で心機一転、再出発ができるという、プロポーズするには絶好のチャンスだということです。

ヒロインは、結婚したい主人公ではなく、結婚してほしいという夫と結婚することを、結婚したい主人公への嫌がらせで結婚することを決めたのだから、泣きたくなる気持ちもわかるような気がします。
多くの人は、結婚したい相手と結婚するのではなく、結婚できる相手と結婚していいる現状について考えさせられます。
結婚することでしか、子供も孫も得ることはできません。

日本では、仕事をしないで人生を過ごせる人は僅かで、多くの人は仕事をしなければなりません。
仕事で成功するには、優秀であったとしても自分の考えを言わず、無能な組織や無能な上司の考えに従わなければなりません。
無能な組織や無能な上司の考えに従って、個人的には成功しても、変化には対応できず、社会的には失敗し、日本は失われた25年を過ごしています。
無能な組織や無能な上司の考えに従っていれば、いずれは「働かないおじさん、おばさん」になります。
無能な組織や無能な上司の考えに逆らえば、個人的に失敗し、社会的にも失敗します。
女性はもちろん、男性でも、仕事か、結婚かを選択しなければなりません。
どちらを選択しても、後悔しますが、後悔を受け入れるしかありません。

綺麗な夕日を、桟橋で見たくなりました。

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ノリック007

4.0【”夕暮れが、一日で一番良い時間・・。”第一次世界大戦後、親ナチ思想の主の元、只管に執事の品格を保った男をアンソニー・ホプキンスが抑制した演技で魅せる作品。】

2022年7月11日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■第一次世界大戦後、親ナチ思想に傾倒する主であり、英国貴族でもあるダーリントン卿が暮らす、ダーリントン・ホールを仕切るスティーブンス(アンソニー・ホプキンス)。
 夜な夜な、英国貴族たちが集まり、世界情勢について語り合う中、彼はその言葉を聞きつつ、自らの意見を言う事はない。
 又、自分の父が執事として働き始めるも、歳の為か転んでしまう姿を見たスティーブンスは、父を給仕から外し、掃除係を命じる。
 そんな中、メイドのミス・ケントン(エマ・トンプソン)だけが、彼に意見を言う。
 それは、彼の執事の仕事に身を捧げて来た人生に、ささやかな波紋を齎す。-

◆感想<Caution! 内容に触れています。>

・前年に公開された「ハワーズ・エンド」も同様なのだが、作品を覆う気品高き雰囲気が、とても良い。それは、細部に亘る時代考証を吟味し尽くした、衣装、意匠を始めとした美術陣の拘りからであろう。

・今作は、第一次世界大戦後に英国貴族たちが夜な夜な、ダーリントン・ホールに集い、今後の世界情勢を語る時代をメインに、その20年後を並行して描いている。
ー どちらのシーンも、アンソニー・ホプキンス演じるスティーブンスと、エマ・トンプソン演じるミス・ケントン(20年後はミセス・ベン)の関係性がメインで描かれる。-

・アンソニー・ホプキンスの恋もせず、主の言いつけには忠実に従う執事スティーブンスの姿を、徹底的に抑制した演技で魅せる役者としての力量が、凄い。
 そして、そんな中、彼はミス・ケントンだけには、人間らしさを仄かに見せる。
 例えば、親ナチ思想に傾倒する主から、ユダヤ人の娘二人の解雇を告げられるも、それに従った事に、ミス・ケントンから抗議される彼の表情。
ー どう見ても、スティーブンスはミス・ケントンに恋をしている。彼が、密かに恋愛小説を胸に抱くシーン。それでも、彼はミス・ケントンに告白をせずに、涙する彼女に対し、静に明日の仕事の指示を出す。-

<ダーリントン卿たちの会話を聞き、”アマチュアだ!”と言いきったアメリカ人のルイス議員が、第二次世界大戦後、新たなダーリントン・ホールの主になり、許しを得て、一人旅行に出かけたスティーブンスは、多分初めて外界に出て町の人達と交流し、優しさに触れ、そして、20年振りに今や、ミセス・ベンになったミス・ケントンと会う。
 そして、彼女から色々とあったけれど、
 ”夕暮れが、一日で一番良い時間・・。”
 と言われ、清々しい顔で”もう会うことはないだろうけれど・・。”と言って別れる。
 今作は、執事の品格を保ちつつ、人生を過ごした一人の男をアンソニー・ホプキンスが、抑制した演技で魅せた作品であると思う。勿論、エマ・トンプソンも素晴らしい。>

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NOBU
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