ヒッチャー(1986)のレビュー・感想・評価
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リバイバルのおかげで改めて知った本作の美しさ
なにせVHS時代の映画であり、テレビのロードショー番組で観た印象が強かったので、これほどまでに撮影の美しい映画だったのかと改めて気付かされた。
世の中には理由の有無に関わらず酷い暴力は存在していて、いつなんどき晒されるかわからないというテーマ性は、最近ならS・クレイグ・ザラー監督などに受け継がれている。決して短絡的なジャンル映画でないことはわかっていたつもりだが、『刑事ジョン・ブック 目撃者』でハリウッドデビューしたばかりのジョン・シールが撮影監督を務めたこともあって、ルックとしても妥協のない一級品に仕上がっている。B級のカルト作とは趣きが違う、堂々たるアート作品だと思う。
本作の立案者でもある脚本のエリック・レッドの監督作『ジャッカー』もドライブを主軸に置いたとても好きな映画だが、レッドも本作の監督ロバート・ハーモンも、その後のキャリアで本作を超えたとは言い難い。素材、演出、撮影、演技、すべてが揃ったことで、関わった誰もが思っていた以上のものが生まれてしまったのではないか。まさに映画が起こした奇跡のひとつだと思う。
詳述せずに恐怖を描く、引き算の美学
初めて観たのは日曜洋画劇場か何かだった気がする。当時、小学生だった私はルトガー・ハウアー演じる謎の男が怖すぎて、途中で観るのをやめた。だが40代の今、ニューマスター版となって帰ってきた本作を再見すると、これがビックリするほど面白かった。かつては幼心に「どうして殺人鬼を乗せちゃうんだろう?」と不思議でならなかったが、改めて見ると、何も無い一本道で主人公がウトウト眠りかけ、眠気覚ましの話し相手が欲しくて彼を乗せたという、いわば心理的な流れがきちんと描かれていることに驚かされる。これに加え、本作の鑑賞中、頭の片隅にずっと「殺人鬼はもしかすると彼の分身なのでは?」という仮説が残存するのも面白い。何を描くか、描かないかを慎重に見極めた本作だからこそ、詳述しない部分がかえって観る側の想像力を刺激する。何もかもがたっぷりと過剰だった80年代、この引き算の美学を実践できた本作は凄いし、だからこそ恐ろしい。
すごい作品でした
ルトガーハウアー出演のサイコスリラー。
子どもの頃見たきりで、今観たらこれが実に良くできた作品でした。
シリアルキラーのヒッチハイカーを乗せた事により、終わらない悪夢がはじまったような物語。
このジョンライダー、目的が不明なうえ逃げる先々に執拗についてまわるんです。
スピルバーグの「激突」にも似た感覚がありますが、こちらの方が“姿が見えのにわからない”そんな得体の知れない恐怖がありました。
ここら辺はルトガーハウアーから滲み出る狂気性でしょうね。本当にすごいものです。
脚本がものすごく巧みで、バックボーンを取り払った“目の前にある恐怖”に限定しているのも効果的だったと思います。
そして観客に小さなタネも蒔いていて、ダイナー辺りからそれが大きくなり、警察署で核心になるようでした。
思えば最初からです。
鏡を起点に表れる、オレを止めてみろ、服役歴・戸籍・免許もない(存在しない)、出身はディズニーランド、終盤はジムの顔つきも似てくるように見えました。
この恐怖の核心は最後まで明言されずに終わるのですが、得体の知れないままにしておくのが実にうまい。ずっと残ったままになるんですね。
子どもの時にはわからなかった、すごい作品でした、
謎のヒッチハイカーから殺人鬼へ、そして執拗に付け回す展開。 ツッコ...
謎のヒッチハイカーから殺人鬼へ、そして執拗に付け回す展開。
ツッコミたくなるとこたくさんで、理由が???で頭がグルグル。
途中ファイトクラブな感じかと考えてはみたものの答えは見つからず。
B級感がありながら奥深げな感じ。
久しぶりにC・トーマス・ハウエルみたなぁ。
母のオススメ作品。 怖いよ!と前から絶賛していたので自分の中でかな...
母のオススメ作品。
怖いよ!と前から絶賛していたので自分の中でかなり期待値が上がってしまっていたのか、いざ観てみると「そんなに…」という感想でした。
意外性や恐怖を感じるような展開は特になく、ずっと観ているにはやや退屈…
この頃は映画をはじめ様々なエンタメが、分かりやすく・派手に・スピーディに演出されている傾向にある(と思う)ので、それに慣れた状態だからこそ退屈に感じてしまったのかもしれません。
【1986年の作品を2022年に観るからこそ勝手に騙される面白さがあるのかもしれない】
・1986年公開のアメリカのサイコ・サスペンス映画。
・AmazonPrimeで検索した時に、2021年と記載されていたので「あれ?1986年では?」と思ったのですが、どうやら、2021年にリバイバル上映されたようです。
・アルバイトで車を長距離陸送する主人公の青年ジムが、大雨の中、車を陸送中に一人のヒッチハイカー(自らをジョン・ライダーと名乗る)を拾うのですが、目的地を訊いても答えずに静かに茶化すだけ。そのまま車を走らせると、何もない場所で停止している車を見つけたので、再び止まろうとするジムに「止まるな」と命令し、ジムのアクセルを踏む足を手で押して車を走らせようとするジョン。不可解に思いその理由を尋ねると「さっきヒッチハイクした車。持ち主の手足、頭を分解したからもう歩けないよ。君もこれからそうなる」という趣旨の恐ろしい答えが返ってきた。それをきっかけにジョンから逃げるジムの話が始まる。途中、ジョンは他の人をどんどんと殺していくが、警察に殺人犯として疑われるのは逃げているはずのジム。一体どういうことなのか。ジョンとはいったい。 という大枠ストーリー。
[お薦めのポイント]
・絶妙なフェイクで観客の混乱を誘う(もしかしたらフェイクしている気がないのかもしれませんが笑)
・真相を、結末を観たくて目が離せなくなります。
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[物語]
・言い過ぎてしまうとネタバレになってしまうので控えますが、恐らく、サスペンス好きの人ならば中盤辺りに「なぜジョンではなく青年ジムが警察に追われているのか」という疑問に対して「ある結論」を推察すると思います。しかし、その推察に対する根拠の決定打もなく物語が進んでいくと「では一体どういう状況?思わせぶりなフェイクか?」と混乱させられると思います。その先の結末は、観てのお楽しみ、という事で。笑
・個人的には、「想像の風呂敷を広げられたわりに、割と単純な終わり方」で肩透かし感をくらいました💦が、もしかしたら、勝手にこっちが想像を膨らませただけで、制作者の意図はなかったのかもしれませんので、自己中な肩透かしかもしれません。笑 にしても、そのような想像を膨らませる幅を持たせてくれていたので、最後まで「で結局真相は?結末は?どうなのよ!」と目が離せなくなりました。そういう意味ではしてやられた(引き込まれた)物語でした。
[演出]
・映画「激突」のような緊迫感もありつつ、それだけではないんです。一旦、気持ちを緩ませたところで、ホラーのようにズズズゥーっと恐怖が追いかけてくるような物語の構成や演出。緩急がしっかりしたサイコ×ホラー×サスペンスと言っても過言ではないかと。
[映像]
・1980年代の映画なので、もちろん映像は粗目です。でも、物語や演出・演技のおかげで、2022年現在もなんの問題なく物語に没頭できました。
[音楽]
・舞台が何もない田舎の一本道。時おり、モーテルやドライブインなどがある程度。何もない寂しさの中で、サイコなキャラクターに追われる状況を、余計なBGMを省いて表現することで、その世界に没頭できた気がします。音を極力省くことも意味のある演出だなぁ、と改めて感じました。所々、差し込まれるBGMは1980年代のサスペンス~って感じの曲目でした。それもまたある意味雰囲気があってよかったです。
[演技・配役]
・ジムを演じる「C・トーマス・ハウエル」さん、ジョンを演じる「ルトガー・ハウアー」さん。どちらも凄い!ばっちりの配役だと思いました。
・トーマスさんは、最初は本当にしがないアルバイターにしか見えないのですが、後半になるにつれて、かっこよい青年に見えてきます。たった100分程度の映画の中でこうも最初最後の印象が異なるように魅せる演技は(もちろん演出も)やはり素敵です。
・一方、ルトガーさんは終始不気味な人を演じきってくれています。でも、よくあるサイコ映画のように「ただ不気味で不死身」な感じとはちょっと違うんです。どこか人っぽさも混じっていて、内に秘めたサイコな部分はぱっと見では表面に出ていないのですが、ちょっとのぞき込むとサイコが渦巻いている感じ?よくあるサイコパス像とはかけ離れた人物を演じられている気がして、感じたことのない恐怖(≒見ごたえ)を感じました。いやぁ、最後まで謎なキャラでしたが、その演技は凄かったです。
[全体]
・色んな思考を張り巡らせながら、恐怖に震えながら、緊迫感にドキドキしながら、約100分間を愉しませてもらいました。オチは賛否両論あるかと思います。世の中では、どんどん色んなサイコ映画、サスペンス映画が生まれているので、結論付けに対する求めるものも増えてきているからです。同じ土俵で1980年代の映画を評価してはならないとは思いつつ、鑑賞するとどうしても期待してしまうものですね💦 ただ、その部分を差し引いても、見ごたえのある映画だったと思いますし、むしろ観客の目が肥えてきた今だからこそ「勝手にフェイクにハマれる」面白さとなっているのかもしれません。
・まずは、100分間のハラハラ、ドキドキ、どうなるの?を単純に楽しめるエンタメ作品として、一度鑑賞されてみてはいかがでしょうか。ありがとうございました。
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#全体3.6 #物語3.5 #演出3.5 #演技3.8 #配役3.7 #映像3.6 #音楽3.5
胸をえぐられるようなスリラー
凄い映画でした。
雨の夜に一人のヒッチハイカーを車に乗せた事により、ドライバーの青年に悲劇が訪れる。
謎の連続殺人鬼に目をつけられてしまった青年。
逃げても逃げても執拗にいかけてくる男。
まるでスピルバーグ監督の「激突!」を更に凶悪に、恐ろしくしたような感じ。
ハッピーな展開ばかりが映画じゃない、と言わせるかのような絶望感と、冷酷で残忍な殺人を何とも思わない非道さは見る者の心をえぐられます。
猟奇的殺人映画の先駆けのような今作は、世界中の様々な有名監督たちも絶賛。
もしかしたらあの名作映画の登場人物も、この作品の影響を受けているのかもしれません。
乗せたら最期、死のドライブが始まる……
ヒッチハイクには気をつけろ
とても印象的な俳優、ルトガー・ハウアーがサイコパスを演じた衝撃作で、公開当時見たときは恐ろしかった。
自動車の陸送中だった主人公はヒッチハイクの男(ルトガー・ハウアー)を乗せる。
この男の異常さに気がついた主人公は、追い出すことに成功するのだが・・・。
これだけの美男にサイコパスを演じられると怖い。
途中から変わってくる
リマスター版DVDで鑑賞。
序盤からグイグイ展開して息つく暇もない。こちらまでいいように弄ばれた気分。直接的な描写があったりなかったりとかも、こちらをさらにドキドキさせる。
最初は大勢いる仔羊ちゃんの1人でしかなかったと思うが、途中から「オレ様のお気に入り♡」みたいな妖しい執着になってる。明確には語られないから余計に怖いのだけれど。ヒソカとか生志摩妄と根底は一緒なのかと思う。
シンプルに人怖
正体不明、目的不明の狂人による執拗な追跡
謎な行動も多く、先が読みづらい。
また、生い立ち、経歴、犯行に至るまでの経緯も全て謎のまま終わった為若干不完全燃焼。
でも結末は良かったな。
主人公に銃弾を渡したり、銃口を頭に突き付けさせたり、去ろうとする主人公を引き留めてまで彼に止めをささせる等、死にたがってるように見えるんだよな。
やはり怖かった
公開当時に観た後は「安易にヒッチハイカーを乗せてはいけない!」「ヒッチハイクは危険!」など思ってました(笑)。日本ではそうそうヒッチハイカーを見かけることもありませんが...。
とにかくひたすら怖かった印象しかなかったのですが、今回は少し冷静に観ることも出来ました。「なんでそっちを選択しちゃうの?」と心の中で叫びまくりでしたが、やはりルドガー・ハウアーをこんなに怖く撮ったのは凄いと思いました。
ジョン・シールの雰囲気ある映像
全体を通しての印象は、おおらかというか、造りがゆるいです(描写はゆるくない)。
でも、監督、撮影監督、役者それぞれが、やりたいことをキッチリとやる。
それでいて、全体的にまとまっているところが、本作の優れたところかなと思いました。
ルドガー・ハウアーの表情や、冷酷でドライな描写など、見どころいろいろありますが、印象的だったのは、雰囲気のある映像でした。
調べてみると、撮影監督は『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』のジョン・シール。
なるほどねぇ…と納得です。
嬉しい発見でした。
冒頭 激突から逃亡者 AI崩壊に
これなんかすごく警察が何度も逃げられパトカー何回簡単に乗っ取られたの?
大沢たかおと同じで心当たりが無きゃ必死に戦ったり逃げ回る必要は無いと思うが?まあ娯楽作品として!
45分とは一体・・・
ナッシュ(ジェニファー・ジェイソン・リー)が言うんですよ。警察が来るまで45分。警察はそんなに遠いのか?と思っていると、案外早くに着いたりするのです。とにかく、犯人の男ジョン・ライダーは、人の厚意でヒッチハイカーを車に乗せてあげたのに・・・理不尽な!!
奇跡のニューマスター版。来場者プレゼントのポストカードには昭和感漂う「ヒッチハイク残酷行」のタイトルが光る。このハガキだけでも儲けもの。そして、本編が始まると、既視感が脳内を襲ってくる。多分、テレビでチラッと見たことがあるのかもしれない。ところどころ、次はどうなると予想ができてしまった。
それでも怖い、ルドガー・ハウアー。ジムの行き先を全て見通している神の域に達している。まるでホラー映画。さらに何かとジムに嫌疑をかけられるように証拠は残さない中盤までのシークエンス。留置場に入ってた時の熟睡がいかんかったなぁ・・・やっぱり拳銃を拾っちゃうんだね。
何が目的なのか、動機がさっぱりわからない快楽殺人のような奴。しかも自分でも死にたがってる様子もあるし、どうしてジムだけ殺さない?いや、謎といえば、ナイフをポケットに入れたタイミングとか、トーストに紛れていた指の存在もわからない。やっぱり宇宙人?
これを観た後ではヒッチハイカーを乗せようとは思わなくなる。残念ながらタクシー運転手していると、手を挙げられると止まっちゃうんだよなぁ・・・悲しい。
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