劇場公開日 2024年5月3日

「◇未開のオーストラリアと少女たち」ピクニック at ハンギング・ロック 私の右手は左利きさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5◇未開のオーストラリアと少女たち

2024年5月4日
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鑑賞方法:映画館

 1900年2月14日ヴァレンタインデイ、寄宿女学校のピクニックで起こった女生徒たちの失踪事件に纏わる物語です。時代背景は英国ヴィクトリア朝末期、翌1901年オーストラリア🇦🇺は、イギリスからの独立しています。

 子供から大人へと変わっていく少女たちの持つ不可思議な生態、不安定ゆえに妖しい魅力を放つ一瞬。それは昆虫などに見られるメタモルフォーゼ<変態>に例えられます。栄養摂取に特化して生き残りと成長に最適化された幼生と、生殖機能を備えた成体の間で、形態が大きく変わることです。

 オーストラリア🇦🇺🐨🦘が孕んでいる未開の自然の不可解さや謎めいた懐の深さと、少女たちが大人へと成長していく過程の美しく魅惑的なモーメントとが、綴織のように物語を構成しています。そして、ミステリーについては収束されず不明瞭なまま幕を閉じます。結末に投げ出されたような浮遊感と物語からもたらされる曖昧さがシンクロして、夢と現実が混ざり合っていくような余韻が長く響き続けているようです。

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私の右手は左利き