劇場公開日 2016年4月9日

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「芸術と可笑しみが交錯する映画」バベットの晩餐会 星のナターシャnovaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5芸術と可笑しみが交錯する映画

2024年2月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館、TV地上波、VOD

興奮

知的

幸せ

デンマークの海辺に近い片田舎の村で
信仰に人生を捧げた父の活動を手伝うため
同じように人生を捧げた老姉妹がいた。
ある日、その老姉妹の若き日に、多少縁のあった
パリの高名なオペラ歌手からの
「この人を匿って(かくまって)欲しい」という手紙を携えた
1人の女性料理人がやってくる。

この女性こそ、フランス革命後の市民による
混乱の時代に夫と子どもを殺害された
パリの一流レストランのシェフ、バベットだった。

それまで、片田舎の寂れた貧しい村で、
さらに貧しい人々を助けるために
老姉妹が干し魚の煮込み料理などを提供していたのだが、
それが、いかにも不味そうで(笑)

バベットが来てから作った料理がどれほど美味しかったか!
言葉にしなくても村人の表情でわかり過ぎる程分かる。

楽しいグルメ映画として観ても良し、
芸術家としてのバベットの深い心理を追うも良し
ぜひご覧あれ!!

で、月に8回程、映画館で映画を観る
中途半端な映画好きとしては

映画の前半は老姉妹の若き日の出来事が丁寧に描写されて
それゆえに、後半のシーンが生きてくる。
一見地味なエピソードの積み重ねに思えますが
クスクスと笑える小ネタもあり、なかなかに楽しい。

ラスト近くから
父の信仰のために人生を捧げた老姉妹への慰めと
真の芸術の力が生み出す至福の時間に癒される村人と
誰のためでもなく、バベット自身の
「芸術家」にとっての切望が交錯する。

ジワ〜〜っと泣けたわ〜〜。

安易なレビューだけでは語り尽くせません。
本当に良い映画でした。

星のナターシャnova