劇場公開日 1962年4月28日

「硬質な映画文体ながら、正義を貫く困難さを描いたアメリカ映画の良心」ニュールンベルグ裁判 Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0硬質な映画文体ながら、正義を貫く困難さを描いたアメリカ映画の良心

2020年4月18日
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鑑賞方法:映画館

社会派監督で名高いスタンリー・クレイマー監督の代表作。第二次世界大戦のドイツの戦犯を裁く占領国アメリカの法の下の正義を題材にした法廷劇。堅苦しい軍事裁判の大作ながら、検察と弁護両方の分かり易い論説の攻防が、3時間の長尺を忘れさせ最後まで飽きさせない。名優たちの豪華キャスティングも適材適所の見せ所を持って、アメリカ映画の懐の深さを思い知らされる。興味深いのは、スペンサー・トレイシーの裁判長以外の裁判官や検察官が無罪の判決を期待している点であり、当時の占領政策に配慮した思惑があることだ。まして、被告であるバート・ランカスターの法学者は自らの罪を認めており、マクシミリアン・シェルの弁護人の雄弁かつ人道的な弁護にも否定的な姿勢を貫く。戦争の善悪に止まらず、裁判が行われる時代や国際状況の社会的損得の背景もあってのニュールンベル裁判である。どんな立場の人間でも、正義を貫くことの難しさを印象付ける作品である。

Gustav