「"君を許すよ"」ドアをノックするのは誰? 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5"君を許すよ"

2023年9月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

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興奮

全編を通してオールディーズが流れる印象の中、J.R.の妄想か、蔑む女性たちを弄ぶような場面でThe Doorsの「The End」が唐突にサイケな世界観へ突入する違和感が斬新で、トリップした『イージー・ライダー』の場面が思い浮かぶ感覚ヲ、本作の兄弟みたいな作品でもある『ミーン・ストリート』より音楽の使い方が巧い、と個人的に。

仲間と過ごす時間やガールフレンドとの時間が交差するような映像描写、基本的には駄話の連続が男連中と繰り返される場面、ゴダールの特に『勝手にしやがれ』からの影響は?ジャームッシュの初期作品は本作に影響されている気も、全体的な映像のLookがブルース・ウェーバーの写真集みたいな雰囲気で、スコセッシのセンスがダダ漏れ。

男としてJ.R.に全く共感ができない終盤、女性に対する偏見はカトリック教徒やらキリスト云々は関係ないように、嫉妬で支配される心の狭い偏屈な男だったのかスコセッシは、あの時代や今現在でも古臭い男性像でしかない単なる自己中心的なJ.R.を許さなかったガールフレンドの選択は正しい。

万年 東一