劇場公開日 1961年2月16日

「名匠ルイ・マル監督の作品としては…」地下鉄のザジ KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0名匠ルイ・マル監督の作品としては…

2023年2月10日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

キネマ旬報での評価が高かった(第7位)
ので、何かあるのだろうと辛抱して観たが、
全く理解が及ばないうちに鑑賞を終えた。

エッフェル塔の詳細な描写こそあるが
期待したパリ賛歌の作品にも思えないし、
子供の目から見た大人社会の理不尽さを
描いたのか、
それに伴い、最後にきて混乱の会場に
黒シャツ隊が現れたので、
隙のある社会でいると
ムッソリーニのような人物が現れて
支配されてしまいますよ、
という教訓的意図があるのか分からないが、
パリの街中を使った三流ドタバタ劇を
見せられた気分で楽しめなかった。

また、ザジについても狂言回しの役割にしか
感じられず、彼女の思考の変遷を
感じることも出来なかった。

確かに凝った編集で独特の作風ではあるが、
コントの羅列のようなこの作品を、
なぜ専門家が評価したのか
(キネ旬では3名の評論家が第1に選出)、
当時の前衛性に評価があったのかも
知れないが、現時点で振り返ってみての
普遍的な意味合いではどうだろうか等々、
納得出来ないままの1時間半の上映時間が
とても長く感じられるばかりで、
観ていてとても辛い作品だった。

ルイ・マル監督は「死刑台のエレベーター」や
「さよなら子供たち」等々のたくさんの名作で
魅了させて頂いたが、
この作品には幻滅感ばかりが支配した。

近々、「ニュールンベルク裁判」や
「招かれざる客」等々の名作で感動させて
頂いたスタンリー・クレーマー監督の
「おかしなおかしなおかしな世界」という
コメディ映画を観る予定。
同じような鑑賞後感にならなければ
良いのだが。

KENZO一級建築士事務所