劇場公開日 1975年6月28日

「どこを向いて仕事をしているか?」タワーリング・インフェルノ momokichiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5どこを向いて仕事をしているか?

2023年8月18日
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鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

子供の頃よくテレビで放映されていた。親父が「たわ~りんぐぅインふぇるのっ」と題名を気に入ってよく連呼していた。その映画をまさか映画館で観れる日が来るなんて! ※「午前十時の映画祭」に感謝。

当時は子供だったということもあり、人がビルから落ちるシーンや火だるまになるシーンばかり印象に残って全く気付かなかったが、この映画、、「優れた群像劇」じゃん!

娘婿の憤りが今ならよくわかる。
設計書通りでない安価な材料に差し替えたのは自分の欲のためもあるけれど、恒常的に義父(=社長)からコストカットの圧力をかけられていた、という背景があったんだな。社長からしたら「こんなことをしろとは言ってない!」だろうけど。(なんだか、いま巷を賑わせている「BIG MOTORの不正」とオーバーラップする。。)どういうリスクがあるかという想像を働かせず「上から言われたから。」という理由だけでやってしまうところが、幼稚で、職務に対する使命感の欠如がみてとれる。義父への意趣返しの面もあったのかな。

隊長かっこいい。。男が惚れる男。
使命のために、己が為すべきことをやる。
あと密かに保安主任も!パーティ中をまったく躊躇せず警報作動!使命に忠実。猫も救出してるし!

気弱な詐欺師と白いドレスの女性。詐欺師とわかっていながら優しく対峙する女性。あんないい人が、、、(思わず目をつむった。)魂が抜けたようになった詐欺師の顔。結ばれて欲しかった。。

設計屋のダグ。設計書通りの材料でやらなかった娘婿を厳しく糾弾。そして必死に人命救助。でもね、、「施工段階のチェックを行わずバカンスに行く」「そもそも7階までしか完全消火できないのに超高層を設計」と実は罪深い。なんとかリカバリーすべく、必死に火災を止めに動いたり、人命救助に奔走する点は救われるが、あまりに犠牲は大きい。そういう悔恨のシーンがラストにもう少しあったらよかった。

「設計屋め」
「設計屋は高さを競い合う」
「今にこんなビルで1万人の死者が出るぞ」
「それまで俺は火と闘い、死体運びさ。安全なビルの建て方を聞かれるまで。」

お前はどこを向いて仕事をしているか?
利益出さないといけない民間であっても、大義を忘れてはならない。
そう戒めているように感じた。

※崩壊した階段からの脱出作戦、救命籠作戦、展望エレベーター吊り下げ作戦、セメントで固められた非常口破壊作戦、貯水槽爆破作戦、、、。
こんなに息つく暇なく展開するとは。50年前の映画なのに色褪せずにハラハラする。
本当に映画史に燦然とそびえる「金字塔」だ。

momokichi
Mさんのコメント
2023年9月14日

まさに「金字塔」です!
同感です。

M
lynx09bさんのコメント
2023年8月20日

コメントありがとうございました♪
レビュー拝見してフムフムと頷きつつ、色んな視点で繰り返し観ることが出来る「正しい傑作」だなぁと思いましたね。警備隊長も推しておきます(ニッコリ)
素敵な映画生活を!

lynx09b
ニモさんのコメント
2023年8月19日

レビューに同感です。

娘婿の気持ちも少し分かるようになりました。大人になるって複雑なモンですね。

ニモ