劇場公開日 1999年9月18日

「金が人を変える」シンプル・プラン キューブさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5金が人を変える

2012年4月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

怖い

 基本設定はコーエン兄弟の「ファーゴ」と色々酷似している。たとえば、舞台が雪の降る町で、金ほしさのあまり殺人を犯し、それが関係してまた殺人をするというコンセプトは似通っている。だがテーマが全く違う。あちらは「悪人は必ず報いを受ける」だがこちらはポスターにも書いてある通り「善人も欲が動けば悪人になる」ということだ。
 主人公のハンクは一緒に計画を立てる兄のジェイコブやその友達のルーよりも賢くて最も良識があるように見える。そして無知で酒飲みのルーが最も俗でダメな人間に見える。だがそれは間違いである。一番金に狂ったのはハンクその人だ。彼だけが証拠を消すために人を殺しているのだ。そして一番頭が悪そうなジェイコブは一番、罪悪感にさいなまされる。これはある種の警告なのだ。どんな人間でも欲が働けば何をしでかすか分からない。それも普通な人間ほど。
 起用された俳優にはさほど有名な人物はいないが、ソーントンは罪悪感を覚えるジェイコブを哀愁たっぷりに演じている。他の俳優はコレといった特徴もなく凡庸なのだが、彼だけが最高の演技を見せつける。アカデミー賞ノミネートも納得である。
(11年5月15日)

キューブ